2016年1月22日金曜日

センター試験の問題をやってみた

20161月に行われた,大学入試センター試験の物理基礎で出題された問題である。

これについて考えてみたい。(ちなみに正答は⑧)

ア: について,これはIVで良いだろう。
図1

イとウはどうだろう。この問題で想定される等価回路は図1のようなものだろうか?しかしこれでは困ることがすぐに分かる。この場合,送電線で消費される電力\(P_R\)は,
\[{P_R} = IV = {I^2}R = \frac{{{V^2}}}{R}\]
であり,イの解答が複数になる。またウの答えが出ない。したがって,想定される等価回路は図2のように,送電先で電力を消費する負荷抵抗 を想定したものと考えられる。この場合は,
図2
\[P_R = I^2R \ne {\frac{V^2}{R}} \]
ちょっと記述が不親切な気がするが,発電所からの送電ということなので,負荷があることは自明なのだろう。

この小文を書いている理由はこの後,ウにある。
問題文中に,「同じ電力量を送るとき」とあるが,そこでは「発電所から同じ電力量を送るとき」なのか,「負荷に対して同じ電力量を送るとき」なのか,明示されていない。その前に「したがって」とあるし,問題冒頭の文からも,前者を想定していると想像はできる。だがこれは,単なる言葉遊びとは言えないのではないかと考えている。
両方の観点からやってみよう。

①「発電所から同じ電力量を送るとき」

図2において,送る電力量を\(P\)を一定として電圧\(V\)を変えると,
\[I = \frac{{{P}}}{V} \]
となる。ここで一つ考えることがある。送電線の抵抗\(R\)は一定なので,\(P\)が一定の時に\(I\)\(V\)のこのような関係を満たすためには,負荷抵抗 が,
\[r = \frac{{{V^2} - PR}} {P} \]
となっていなければならない。即ち送電の電圧\(V\)をあげると,負荷抵抗\(r\)もそれに応じて増やす必要がある。そうすることによって,\(I\)を減らさないと\(P\)を一定に保つことができないからだ。(負荷抵抗を変えないとすると別途\(I\)を制御する機構を想定することになる。)
この場合,送電線で消費される電力\(P_R\)
\[{P_R} = {I^2} R = {\left( {\frac{P}{V}} \right)^2}R\]
となり,\(V\)を高くした方が,送電線での電力損失は小さくなる。しかし,
このとき負荷抵抗\(r\)で消費される電力\(P_r\)は,
\[
  \begin{align*}
  P_r &=I^2R=\left({\frac{P}{V}}\right)^2r \\
  &=\left({\frac{P}{V}}\right)^2\left({\frac{V^2-PR}{P}}\right) \\
  &=P-\left({\frac{P}{V}}\right)^2R \\
  &=P-P_R
  \end{align*}
\]
となり,送電電圧を高くすると負荷で消費される電力も増える。
これは当たり前のことで,送電電圧を高くすると送電線での電力損失は小さくなるが,常に一定量の電力を送り出しているため,残りの電力すべてが負荷で(必要の有無に関わらず常に)消費されなければならない。負荷で消費可能な電力が増えると考えることはできるが,この問題設定に違和感を感じるのは私だけだろうか?

負荷で必要十分な電力を供給するように,送電電力量\(P\)を調整するという方がより現実的ではないか。結局,これは負荷に対して同じ電力を送る,つまり\(P_r\)を一定に保つという設定で考えることになる。


② 負荷に対して同じ電力量を送るとき
図3

図3のように負荷が消費する電力を\(P_r\)とする。負荷にかかる電圧を\(V_r\)とすると,回路に流れる電流\(I\)
\[I={\frac{P_r}{V_r}} \]
である。したがって,送電線での電力損失\(P_R\)は,
\[P_R=I^2R=\left({\frac{P_r}{V_r}}\right)^2R \]
となって,\(V_r \)を高くすると,小さくなる。このとき送電元の電圧\(V\)
\[V=V_r+IR=V_r+{\frac{P_r}{V_r}}R \]
となり,\(V_r\)を高くすると,\(V\)も高くなる。
\(V_r\)を\(V\)で表すと,
\[V_r={\frac{V+\sqrt{V^2-4P_rR}}{2}} \]
となり,負荷に電力\(P_r\)を送電するためには\(4P_rR < V^2 \)でなければならないこと,\(4P_rR \ll V^2 \)では\(V_r \approx V\)であることが分かる。

即ち,負荷に必要な電力を送るという想定でも,送電電圧を高くすることによって,送電線における電力損失を減少させることができる。

③ もう少し実際に即した考察

図4
実際に送電する際には,図4のように,高電圧で\(V\)で送電したあと,負荷(一般家庭など)の近くで変圧器によって100V(または200V)に電圧を下げて供給する。送電線を通ったあとの変圧器手前の電圧を\(V_T\),変圧器後の,負荷にかかる電圧を\(V_r\)とすると,負荷に供給する電力\(P_r\)のとき,負荷に流れる電流\(I_r\)は,
\[I_r = {\frac{P_r}{V_r}} \]
である。
変圧器で\(V_T\)に昇圧すると,同じ\(P_r\)を供給するので,送電電流\(I\)は
\[I = {\frac{V_r}{V_T}}I_r = {\frac{V_r}{V_T}} {\frac{P_r}{V_r}} ={\frac{P_r}{V_T}} \]
となるので,②における議論の際の\(V_r\)を\(V_T\)で置き換えれば,全く同じことが言える。



余談と感想

気になったので,手元にある物理基礎の教科書(第一学習社)をみた。そこにある説明は①だった。ただし,負荷に関する記述はない。高圧電線による送電ということを教えたいため,詳細は省いたということだろう。
この問題について,いくつかの予備校による解説もみたが,特に突っ込んだ解説は見当たらない。一つだけ,発電所から一定の電力を送ると明示した解説があった。
この話,私も大学の授業でとりあつかっている。最初どのように考察すればよいのか,結構考えた記憶がある。それもあってちょっと引っかかったのだ。
結局「同じ電力量を送るとき」を「発電所から同じ電力量を送るとき」,「負荷に対して同じ電力量を送るとき」,どちらで考えても,送電線の電力損失を軽減するという観点から同じ答えがでる。後者が現実に即していると思うが,物理基礎の問題としては結構難しくなってしまうだろう。出題委員は意図的にどちらでもとれる問題文にしたと考えるのは邪推だろうか。


2016年1月1日金曜日

明けましておめでとうございます(新年早々windowsと格闘)

2016年。明けましておめでとうございます。
本年が皆様にとって良い年でありますように。

さて、ブログの更新をずっとサボっていました。その間海外にも行っているし、ネタが無い、ということではないのですが、なんとなく遠ざかっていました。
新規一転。ことしはアクティブに行こうと思っています。

元旦の朝からなにをしていたか?
Windows10と格闘しています。(継続中) 昨日、大晦日に懸案であった自宅PCをwin7からwin10にアップグレードしました。何事もなく終わり、使っていたのですが。夜中(新年を迎えた直後(^^; 家人よりパソコンが立ち上がらないとの報告。考えてみると、アップグレードの後、しばらく使っていたのですが、再起動は最初だったようです。windowsが途中までたちあがってその後、黒い画面のまま。。なんともできません。
何度が立ち上げ直してみると、windowsの読み込み失敗したとのメッセージと、修復方法の選択画面に。まず復元ポイントの復帰を試したんですが、OSをいれた直後なので、そもそも復元ポイントがありません。
しかたなく、戻すを選択。再起動との表示がでましたが、そこから進みません。時間がかかることもあるかと思い、とりあえずそのままにして寝ることに。
翌朝(元旦です)様子をみると、再起動します、のまま。仕方なく強制終了して再起動。すると今度はウィンドウズをもとに戻しているとのメッセージ。しばらく放っておくとwindows7に戻りました。

さあ、どうしようか。家族とも相談した結果(私のpcではないので)再挑戦することに。
いざと言うときのために、手持ちのディスクにwin7のクローンを作っています。(<-いまここ

それができたら、再度win10のインストールです。

ネットで調べて見ると、似たようなトラブルに遭った方も結構いるようです。
今のところ対象法は定かではありませんが、
何故か外部ディスプレイが選択されている
win10の高速スタートアップ機能が不安定
との話も聞きます。

pcはラップトップなので、外部ディスプレイは?ですが。
まずは、高速スタートアップをオフにしてみよう。

続きはまた。。。。

2016年1月10日付記

 試行錯誤の上、UBSマウスを受けたままだと再起動できないことが判明した。
 レガシーUSBをオフにするなど、ネット上で見つかった対処方法を試したが、効果無し。 
 家族に聞いてもwin10の方が良いという声もなく。。。
 結局win7に戻した。。。



2015年8月15日土曜日

コード(和音)の話II

  時々書いているけど,私達の研究室では毎年,夏の学校と称して合宿を行っている。
4年生は4月から勉強してきた卒業研究に向けた成果を,院生とスタッフは何か科学に関するネタを話すことになっている。今年の開催地は,久しぶりに,大山にある中国・四国国立大学共同研修所だった。
 毎年何かネタを考えなければならないので,この時期になると頭を悩ませる。学生さんの手前あまりいい加減なことはできないし,,,ちなみに昨年は「野球の打順について考えてみた」だった。今年は,どうしようか迷ったが一昨年考えて中途半端だった音楽のコード(和音)の話題に再挑戦することにした。 結論から言うと,今年もやっぱりなんだか分からないということなので,この先を読んでいただける方は予めご了承願いたい。それと途中で数式とかグラフとかがでてくるので,慣れていない方には難解かも知れない。コードの表し方,A,B,C,,,I, II, III ,,なども説明なしにでてくるのでご容赦願いたい。また,文中にリンクしている音声ファイルはwavである。


本題。
皆さん,この曲名を見て共通点が思い浮かぶだろうか。

 負けないで  ZARD)
 少年時代  (井上陽水)   
 真夏の果実  (サザンオールスターズ)
 翼をください  (赤い鳥)
 さくら   (森山直太朗)
  .。。。。。

最初の3つの一部(と最後におまけ)を聞くとこんな感じだ。(分かりやすいようにみなC(ハ長調)に移調している。) すべてベースの音がド,シ,ラ,ソ,,,と下がっているのが分かるだろうか。
聞いてもらった部分はすべてコードの進み方,つまり,コード進行が同じ;

C->G->Am->Em->F->G (I->V->VIm->IIIm->IV->V)

となっている。(曲によってはアレンジあり)
4番目の曲は,実はパッハルベルのカノン,1680年代に作られたバロックの有名な曲だ。これにちなんで,このコード進行はカノン進行と名前がついている。300年以上経た今でもJ-POPで多用されているなど人気のコード進行だ。

もう一つの有名な例;

 会いたかった AKB48
 フライングゲット AKB48)
 残酷な天使のテーゼ (高橋洋子)
 RUNNER (爆風スランプ
 言葉にできない (小田和正)
 。。。。。


このコード進行は

  Am->F->G->C  (VIm->IV->V->I)

小室哲哉さんの曲によく現れるということで,小室進行とも言われているようだ。マキタスポーツさんの著書「すべてのJ-POPはパクリである」のなかではドラマチックマイナーと名付けられている。もっとも,このコード進行も最近できたもではない。筆者は数十年前に音楽教室に通っていたが,そこでも VIm->IV->V->I (ろくよんごーいち)と,呪文のように習っていた。
他にも王道進行(IV7->V7->IIIm7->VIm )と呼ばれるような有名なコード進行もあるし,我が研究室(の一部?)で大人気のPerfumeは(IVM7->IIIm7->IIm9->IIIm7)をよく使うということだ。

 
さて,ここからが本当の本題

このようなコード進行に何か法則を見いだすことができるだろうか。人の主観に科学的な法則を探すという無謀なことなのだが,夏の学校のネタということでとにかく挑戦したのだ。

コード進行の話をするためには,まずコードの成り立ちを考えなければならない。2年前はこの話をしたのだった。再考してみよう。以下簡単な復習も兼ねるが,詳細はそちらを参照してほしい。そこにも書いているが,現在広く使われている音階は平均律と言い,1オクターブ(周波数が2倍)を12の均等な比に分割している。
式で書くと


f0は基準の周波数。通常は真ん中のラ(A)の音を440Hzとすることが多い。
すると(イ長調の)ドレミファソラシドは,
i = 0, 2, 4, 5, 7, 9, 11, 12
Aメジャーコードの周波数(純正率)
それらしくみえるようにわざと
幅を持たせている。
となる。だが,2年前にも議論したように,平均律を使うと,音と音の高さ(周波数)の比が単純な整数にならない。和音の響きは結局のところ音の周波数の関係に帰着できると考えられるが,この議論は平均律では難しい。たとえば,Aメジャーコードのド,ミ,ソの周波数は,440Hz,554Hz, 659Hzとなって,その関係が分かりにくい。そこで,音と音の周波数比をもとの音階を定めたものとして,純正律が知られている。平均律を使うとAメジャーコードの周波数は440Hz, 550Hz, 660Hzときっちりと4:5:6の関係になる。[1]
ちょっと面倒な計算が入るがこれを考えてみよう。(以下の話は2年前の考察には無かった。)
ある音の周波数をfと書くと,その音の振動は

だ。

なのでAの音(440Hz)の周波数をfAと書くと,Aメジャーコードの振動は

となる。

 
周波数の様子をみると,真ん中の音Df(ディーフラット)を中心に左右に等間隔に周波数が並んでいる。これを意識して上の式をこれを書き換えるとこうなる。

慣れた人には直ぐ分かると思うが,一番下の行は,は周波数fdをその1/5の周波数(110Hz)で振幅変調したことになっている。音の振動の様子をが下上,fd(業界はキャリアとか搬送波と言う。)と変調周波数に分けて書いたのが下図だ。これをみると,音の振動に110Hzの構造があるのが理解できる。

メジャコードの音振動(上)
下は振幅変調の表した時の
キャリアと変調周波数を
重ねたもの
メジャーコードは,3つの音の周波数構成から理解できることが分かった。3つの真ん中の高さの音(III)を,その1/5の周波数で振幅変調している。それがきれいな響きのもとになっていると考えられる。それでは,真ん中の音の1/4や1/3の周波数で振幅変調したらどうなるのだろうか。計算すると,1/4で変調した場合は,別のメジャーコード(今の場合は,D♭),1/3で変調すると,上下の周波数比が丁度2倍(1オクターブ)となるので,3音のコードができないことがわかる。

 ではマイナーコードはどうなっているのだろう。これはメジャーコードように3音の間に明確な周波数の関係をつけることができない。一番低い音(I)と,高い音(V){の周波数比はメジャーコードと同じく,1:1.5になっているが,Iと真ん中(IIIm)とは1:1.2(メジャーコードは1:1.25)。したがってメジャーコードと同じような解釈はできないのだが,ここは大胆に仮定してみる。マイナーコードについても,メジャーコードと同じような計算をすると,





第1項はDfの音にその1/5の周波数の振動をかけた形をしている。第2項はメジャーコードではfdだったが,少しずれた音だ。とにかく,上図と同じように振動の様子を見てみよう。

マイナーコードの音振動(上)
下図はメジャーコードの図と同じ
この図の下の部分はメジャーコード図と同じものだ。これをみると,マイナーコードもDfの振動にその0.2倍の周波数の振幅変調をしているが,周波数の関係がメジャーコードの場合のようにちゃんとした比になっていないことを反映して,波形がひずんでいると考えることができると考えることができそうだ。
かなり大胆な仮定だが。。









コード進行の考察

いままで話したコードの考察から,コード進行について以下の仮定をしてみた。

  • メジャーコードは真ん中(III)の音をその1/5倍の周波数で振幅変調したものである。IIIの音がそのコードの性質を代表する。他のコードへのつながりを考える時は,IIIのからのつながりを考る。
  • マイナーコードもその構造はメジャーコードと同じだが,周波数比が単純な整数でないため,音がひずんでいる。しかし,IIIの音がそれを代表することはメジャーコードと同じ。

さて,これから,コード進行,即ち,音と音のつながりを考えるのだが,これに明確な指針はない。
とりあえず,3音からなるコードを1音で表すところまで簡略化したので,コード進行もその音と音の関係,つまり不協和音の度合いをから考えてみよう。
よく言われることがだ,人が二つの高さの音を聞いた時に,そのを不協と感じかどうかは,二つの音の周波数比が指標となる。一般に,周波数比が簡単な整数の時は協和,複雑な時は不協と言われる。これは人主観を数値で表したものなので,演繹的に導出できるものではない。仮定としていけいれよう。(実は,前項のメジャーコードとマイナーコードの考察もこれを暗黙に仮定している。)

例えば,AとDfの音の周波数比は5/4(純正率長3度)。
同時に聞くとこんな音だ。
一方もっとも,不協といわれているAとDf,周波数比は64/45
こんな音だ

すると,コード進行も協和音にそって進行するのではないか?と考えて,各コードのIII音の比を表にした。

     I    IIm    IIIm     IV     V     VIm    VIIm
I   1/1  256/225  32/25   4/3    3/2    5/3   48/25
IIm 225/256   1/1    9/8   75/64 675/512 375/256  27/16
IIIm  25/32   8/9    1/1   25/24  75/64 125/96   3/2 
IV   3/4   64/75  24/25   1/1    9/8    5/4   36/25
V   2/3  512/675  64/75   8/9    1/1   10/9   32/25
VIm   3/5  256/375  96/125   4/5    9/10   1/1  125/144
VIIm  25/48  16/27   2/3   25/36  25/32 125/144   1/1 

これをみると,255/225など大きな整数比,3/2などの小さな整数比の組がある。これにそって,たとえば,大きな整数比にそってコードを進めるとあまり気持ちよくなく,小さな整数比だと心地よいのだろうか。ものは試しだ。


5つのコード進行を並べている。

それぞれのコード進行は,

 1 表から組み合わせが良くないと考えられる進行 (IIm->V->IIIm->VIm->IIm)
 2 表から組み合わせが良くないと考えられる進行   (I->IIm->VIm->VIIm)
 3 表から組み合わせが良いと考えられる進行        (I->VIm->IV->V)
 4 最も基本的な I->IV->V->V7->I 進行 
 5 いわゆる小室進行 VIm->IV->V->I

聞いた印象はどうだろうか


ということで,コードについて再考してみた。メジャーコードを振幅変調という観点から理解できたのは良かったかな。音楽理論などは全く調査していないので,これが何を意味するのかまでは考察に至っていないが,面白そうなのでしらべてみようか?
コード進行については,ますます人の主観に関することなので,そもそもどのように考察すべきかも定かではない。やっみた以上のことはなかったが,いわゆる音楽理論なるもので言われているコード進行と比較してみるのもの一興だろうが,来年の夏かな。。。。


[1]12音階の平均律と純正律のずれを改善した,53音階純正律というのもある。
例えが,木村俊一著 「連分数の不思議」に考察がある。

[2]この考察をするにあたって,
マキタスポーツ 著 「すべてのJ-POPはパクリである」
を参考にしました。








2015年7月29日水曜日

グラフ電卓に将来はあるか?

ひょんなことからグラフ電卓を試用する機会があった。グラフ電卓を見たこと,使ったことがあるだろうか?普通の関数電卓よりも大きめのディスプレイに,数式やデータのグラフを表示することができる。もちろん関数電卓としても高機能だ。カシオのfx-CG20や,テキサスインスツルメントのTI-Nspire CX CASなどが代表的なところか。


Ti-Nspire CX CAS
fx-CG20
fx-CG20

 使ってみると,それなり便利だ,式を入れるとたちどころにグラフにできる。新しいものは図の解像度も高く,視認性もよい。しかし,今では,iPadやAndoroidタブレットで同じことができるではないか。それも,MathematicaAlphaのような信じられないくらいの高機能ソフトが数百円で手に入る。グラフ電卓に需要はあるのだろうか。

そんなことを考えていると,すでに2011年に同様の考察(英語)をされた方がいた。それによると,

  • グラフ電卓の目的は数学や理工学の教育である。
  • アメリカでは以前からグラフ電卓を学校導入しており,メーカと教員がタイアップして授業に役立ててきた土壌がある。
  • iPadやアンドロイドタブレットは高価。
  • いろいろアプリはあるがこれ一つでOKというものはなかなか見つからない。
  • (アメリカのSATなどでは)試験にグラフ電卓は持ち込み可能だが,タブレットがいつ許可されるか分からない。
など,まだまだグラフ電卓の需要は高いとの見ている(見ていた)ようだ。

 だが,この記事の作者もiPadなどの将来性は期待しているし,公共の試験がそれを認める日が来るのを願っているようだ。それに,この記事は2011年。今では,十分に高機能のタブレットが2万円以下で手に入る。グラフ電卓とあまり変わらない。値段の問題はそのうちなくなるだろう。アプリについてもMathmaticaAlphaはもとより,グラフ電卓の大手テキサスインスツルメントもグラフ電卓アプリをだしている。

どうだろう,テキサスインスツルメント社が新しいグラフ電卓を発売していることからも,まだ米国では需要があると考えているのだろう。しかし,そもそもグラフ電卓などの高機能電卓を教育現場で活用する土壌のない日本で,これから普及するだろうか?もし普及するまたはさせるとしてら,タブレットとは違う”電卓”が強みを発揮できるようなビジネスモデルが必要ではないだろうか。

電卓の強みは??
  • 余計な機能を排して電卓に特化したところ。。とはいっても使い方は単純ではないが,,,
  • 携帯性。
  • ハードキーボード。。。タブレットのソフトキーボードは使いにくい。しかしタブレットもbluetoothで外付けキーボードやテンキーは接続できるけとね。
  • 教育現場にメーカーが食い込んで共同作業(教材開発)ができる。。これはタブレットも同じか?
う~む。。。携帯性と単機能を逆手にとった使いやすさを追求するのかな。。。たしかに,低学年(高校生以下?)では,余計なことができすぎるタブレットよりこちらの方が良いかも。
授業への導入方法の具体化が鍵か。。(この手の教材は,高機能化よりも,現場の教師が負担無く使えるようにするのが大変)

余談
 アメリカに代表されるように,グラフ電卓などの高機能電卓を数学や理工学の教育に積極的に導入している国がある。それに比べて,日本はそのような傾向が全く無い。これは日本の教育の改善点と認識すべきだろうか。ちなみに,OECDが定期的に行っている,15歳児の学力調査PISAの2012年の結果は,65か国・地域中,日本は7位,アメリカは36位。(要因はいろいろあるだろうから電卓の効用と関係づけるのは無理すじだと思うけど。)

2015年7月17日金曜日

PCを高速化(爆速化)

まず,デスクトップDEL T3500

仕事にも私用にもパソコンは欠かせない。(最近,新入社員に全くパソコンを使えない人が増えていると話題もあったっけ?)
気がつくと,今仕事でメインに使っているDELLのデスクトップは,買ってから5年が経とうとしている。それなりに速いCPUを載せているし,常時CPUパワーが必要な仕事をしているのではないので,そこそこ使える。しかし,HDDはいつクラッシュしてもおかしくない年齢だ。そろそろ何とかしなければ。最近はSSDも安くなってきた。

というわけで,HDDからSSDへ換装することにした。
仕事用なので,SSDも大きめの1TB。約5万円。出入りの業者に探してもらったら,CrucialBX100を持ってきた。
早速ディスクのコピーを始める。EaseUS Todo Backup Free」というフリーのソフトで,デスクトップのHDDの中身をまるごとSSDにコピー。いわゆる,ディスクのクローンだ。
デスクトップはDELLのT3500。ふた空けると,SATAケーブルのコネクタが余っている。そこに差し込んでスイッチをいれた。初めて使うコネクタなので,そのままでは認識しない。BIOSの設定でコネクタに対応するSATA2をON。次に,システムからディスクの管理をえらんで初期化。これでディスクを認識するようになった。
つぎは,EaseUS ToDo...でディスクのクローン。SSDのパーティションを変更することもできるのだが,容量に余裕があったので,すべて初期設定のままにした。
クローンが終わるのにだいたい1.5時間くらいだった(HDDは1TBだけど使っているのは280GBくらい)。

あとは,HDDの繋がっていたコネクターにSSDを付け替えて再起動。何事もなく一発でたちあがった。Webで検索すると,少し設定が必要という話もあったのだが,全く何もなく,肩すかし。。。

結果は,,,,

まさに 爆速。。

体感10倍か?とにかく,立ち上げとかログインの時間が圧倒的に短い。
PDFファイルをクリックしても直ぐに表示される。

CrystalDiskMarkという定番ソフトで読み書きの速さを比べると,,,


HDDの測定結果
SSDの測定

体感に近いと思われる,4KランダムNCQ(上から2番目)の読み取りで,約140倍,書き込みは何と290倍の差が出た。本当かな,というくらいだ。


ノートPC ダイナブックT551

気をよくして,こんどは自宅で使っているノートPCもSSDに。
こちらは私物なので,節約,,でもないが,258GBで我慢。購入したのはTOSHIBAのSSDを使っているというこれ。それに,SSDをUSB経由で接続するためのアダプタも購入。密林で合計約1.7万円。

ダイナブックHDD
このパソコン。とにかく遅かった。何をするにも数分またなければならない。CPUはそこそこだし,メモリーも8GBなのでやはりディスクかな。ためしに読み書く速度をはかると。。

これはだめでしょ。という結果だ。4KBのランダムは0.4MB/s。書き込み0.3MB/S。連続読み書きも100GB/Sに遠く及ばない。遅くて当たり前だ。

さっそく届いたSSDに換装。手順はデスクトップと全くおなじ。ところで,最初接続したときには,検索画面で「ハードディスク」といいえて,ディスク管理設定に行く。
(いちいちコンパネから探さなくてよいので楽)

 クローンをつくるときは,パーティションをいじって,ユーザー領域を少しひろげた。まあこれは好みかな。
SSDの読み書き速度
今度も,SSDにもとのHDDクローンをつくって,ディスクをいれかえると,何事もなく起動。

いや,何事もなくではない。これまで5分とか10分近く待っていたのが,10秒もかからずに起動した。すごい。。。。
どれだけ速くなったのか,測ってみると。。

4Kランダム読み取りはなんと760
倍,書き込みも720倍。これはかわるはずだ。連続読み書きは500MB/sを超えている。SATA3の上限が600MB/sなので,何かの間違いかというくらい速い。
これなら,1.7万円投資しても家人はゆるしてくれる。。と思う。。。







2015年5月9日土曜日

自動化ゲートで出入国?

l ご存じの方も多いと思うが,羽田や成田などの大きな空港には自動化ゲートが設置されている。予め登録しておくと,出入国は機械によるパスポートと指紋認証でOKだ。私も数年前に登録して使っていた。比較的空いているので,混んでいると時期は便利だった。
だが,この指紋認証が鬼門だ。私の指紋は機械による読み取りに向いていないらしく,以前から一回で読み取れないことがあった。それでも1~2回で何とかなっていたので,良しとしていた。

 ところが,昨年(2014年)12月に羽田で出入国とも全く指紋が全く読み取れなかった。
帰国の時に係の人に話をすると,,
「指を見せていただけますか,,,指紋が薄いですね。鼻の辺りをこすって油をつけると良いですよ」
しかしどうしてもだめ。係の人曰く,
「機械が新しくなっんたです」
私,「新しくなってトラブルでは困りますね,,,」
係官の方は,とても親切で私が何度もトライするのにつきあってくれたが,やっぱりだめだった。

 さて今回(2015年4月),今度は成田空港から出国。何度も試したが,やはり指紋を読み取れない。時間があったので再登録しようと登録の列(こちらは5人くらい並んでいた)に並んだ。「指紋が読み取れないので再登録したい」と言うと,
係の方曰く,
「再登録してもだめだと思いますよ」
ちょっとむっとして,不親切だな,,と思ったのだが,それは全くの勘違い。
直ぐに「一緒にやってみましょう」と言って,一緒に自動化ゲートへ。
そこでいろいろと説明してくれた。
分かったことは,
昨年の10月に機械が新しくなってからトラブルが増えた。
指を置くところに段差あって,指紋が読み取り面に密着しにくい。

係の方はいろいろと対処方法を言ってくれる。
指を強く押しつける。
読み取り不可のメッセージがでたら直ぐに指を一度離してやり直す。。
等々,
でも全くだめ。

その方のアドバイスは,

  • 指紋の登録の機械と自動化ゲートの機械は同じものなので,今再登録をすると指紋が読み取れずに登録できない可能性が高い(登録抹消となる)。それの方が不利益が大きい。
  • 法務省にも情報はあげているので,今はそのままにしておいて,機械が改良されるのを待つ方が良い。
  • 自動化ゲートで読み取れないときは,その横にいる係官のところに行けば,入国手続きをしてくれるので,混んでいるときも結果的にあまり並ばなくて良い(早く通過できるという利益は得られる。)
ということだ。

さて,帰国時。自動化ゲートに行ったが,予想通り全く指紋は読み取れない。直ぐにあきらめた,横の窓口で指紋が読み取れないことを伝えると,「指を見せてもらえますか」。見せると直ぐに覚ったようで,「パスポートに入国のハンを押しますけど良いですか」とのことと。私「全く問題ありません」ということで,無事に入国。

しばらくはこれが続くのかな。。。
それにしても,羽田,成田でいままで3人の入国係官の方と話をしたが,皆とても親切でしかも対応になれていらっしゃる。トラブルの多さが推察できるというものだ。

念のため追記。
私の指紋が機械泣かせなのは確か。他の機械でも経験あり。問題なく通過できる人が多数です。







2015年5月3日日曜日

ワシントンでsimフリー携帯を使った話

Ready simのパッケージ(左)とsim(右).
標準simとマイクロsimに対応。
先日,simフリー携帯を買った話をしたとき,アメリカ用のpre-paid simに触れた。今回使ったのは,Ready Sim。日本でも例えばここから購入できる。購入したのは,アメリカ国内電話,SMS,データ1.5GB付き,21日間有効というものだ。どのくらいデータを使うかよく分からなかったので,ちょっと多めにした。

 ワシントンへ向かう機内で,携帯にsimを挿して,説明にしたがって,APNをセット。あとは現地についてアクティべーとすれば良いはずだ。Dual Simの携帯なので,日本で通話用に使っているsimはそのまま挿しておける。(ready simで通話もするので,同時使用はできないが。)
アクティベートのために最初に送った
SMSとその返事。
  ワシントン空港に到着して早速,ready simで携帯をON。説明書の通りに7350へテキスト(SMS)で,zip codeを送る。すると直ぐに返事が来た。電話番号も決まっている。APNの設定方法も知らせてくれるらしいので,早速apnと返信する。そしたらandroidやiphoneを選択するメールが来たので,androidを要求すると。設定方法が送られてきた。
ここでちょっと戸惑う。APNの名前が,説明書と違う。説明書ではAPNは
  roam
となっていたが,送られてきたテキストには
  wholesale
にせよと書いている。確かroamでは繋がらない。指示通りすると,無事に繋がった。さっそくgoogle mapを見てみると,地図も表示されるし,自分の居場所も分かる。よしよし。。。
しかし,通信速度はあまり早くないようだ。3Gでは繋がると思っていたが,,,これは最後までわからなかった。
無事に開通したので,電話番号を同行者全員に連絡。
これで,滞在中の米国内電話は無料だ。。

使いかってはどうだったか。最初,1.5GBがどの程度か分からなかったので,節約しながら使っていたが,通信速度があまり出ないこともあって,ほとんどデータ量は増えない。1日10MBとか20MB。1.5GBは多すぎたか。。ホテルも滞在中の仕事場所もネットが完備しているので,携帯のローミングをする必要はほとんどなかった。最終日,帰国直前にワシントン空港で見ると,データ使用料は120MB。購入量の10分の1も使わなかった。ちょっともったいなかったな。。。
APN設定のやり方のメッセージ。説明書
とちがって,APN名はwholesaleだった

それでも,ワシントン市内を歩いて移動しなければならないこともあり,google mapが使えるのはとても便利だ。,タクシーに住所を伝える必要があるときも直ぐに検索できる。今回は仕事でメールのやりとりがとても多かったので,いつでも送受信できるのはやはり助かった。回数は多くなかったが,アメリカの電話番号があるのはやはり便利。着信もアメリカの番号だけにしておいたので,日本から電話がかかってこないこのも良かった。(これまで何度か,海外の夜中に日本から電話がかかってきたことがあった。日本からの電話を日本の携帯で着信すると,国際電話料金が受けた方にかかる。)

総じて,それなりに便利だった。アクティベーションが直ぐにできるのは良い。しかし,データ通信の速度が予想外に遅かった。3Gで繋がると思っていたのがだが,2Gだったのか?これは携帯の周波数対応かもしれない。後で調べてみることにしよう。