2015年7月29日水曜日

グラフ電卓に将来はあるか?

ひょんなことからグラフ電卓を試用する機会があった。グラフ電卓を見たこと,使ったことがあるだろうか?普通の関数電卓よりも大きめのディスプレイに,数式やデータのグラフを表示することができる。もちろん関数電卓としても高機能だ。カシオのfx-CG20や,テキサスインスツルメントのTI-Nspire CX CASなどが代表的なところか。


Ti-Nspire CX CAS
fx-CG20
fx-CG20

 使ってみると,それなり便利だ,式を入れるとたちどころにグラフにできる。新しいものは図の解像度も高く,視認性もよい。しかし,今では,iPadやAndoroidタブレットで同じことができるではないか。それも,MathematicaAlphaのような信じられないくらいの高機能ソフトが数百円で手に入る。グラフ電卓に需要はあるのだろうか。

そんなことを考えていると,すでに2011年に同様の考察(英語)をされた方がいた。それによると,

  • グラフ電卓の目的は数学や理工学の教育である。
  • アメリカでは以前からグラフ電卓を学校導入しており,メーカと教員がタイアップして授業に役立ててきた土壌がある。
  • iPadやアンドロイドタブレットは高価。
  • いろいろアプリはあるがこれ一つでOKというものはなかなか見つからない。
  • (アメリカのSATなどでは)試験にグラフ電卓は持ち込み可能だが,タブレットがいつ許可されるか分からない。
など,まだまだグラフ電卓の需要は高いとの見ている(見ていた)ようだ。

 だが,この記事の作者もiPadなどの将来性は期待しているし,公共の試験がそれを認める日が来るのを願っているようだ。それに,この記事は2011年。今では,十分に高機能のタブレットが2万円以下で手に入る。グラフ電卓とあまり変わらない。値段の問題はそのうちなくなるだろう。アプリについてもMathmaticaAlphaはもとより,グラフ電卓の大手テキサスインスツルメントもグラフ電卓アプリをだしている。

どうだろう,テキサスインスツルメント社が新しいグラフ電卓を発売していることからも,まだ米国では需要があると考えているのだろう。しかし,そもそもグラフ電卓などの高機能電卓を教育現場で活用する土壌のない日本で,これから普及するだろうか?もし普及するまたはさせるとしてら,タブレットとは違う”電卓”が強みを発揮できるようなビジネスモデルが必要ではないだろうか。

電卓の強みは??
  • 余計な機能を排して電卓に特化したところ。。とはいっても使い方は単純ではないが,,,
  • 携帯性。
  • ハードキーボード。。。タブレットのソフトキーボードは使いにくい。しかしタブレットもbluetoothで外付けキーボードやテンキーは接続できるけとね。
  • 教育現場にメーカーが食い込んで共同作業(教材開発)ができる。。これはタブレットも同じか?
う~む。。。携帯性と単機能を逆手にとった使いやすさを追求するのかな。。。たしかに,低学年(高校生以下?)では,余計なことができすぎるタブレットよりこちらの方が良いかも。
授業への導入方法の具体化が鍵か。。(この手の教材は,高機能化よりも,現場の教師が負担無く使えるようにするのが大変)

余談
 アメリカに代表されるように,グラフ電卓などの高機能電卓を数学や理工学の教育に積極的に導入している国がある。それに比べて,日本はそのような傾向が全く無い。これは日本の教育の改善点と認識すべきだろうか。ちなみに,OECDが定期的に行っている,15歳児の学力調査PISAの2012年の結果は,65か国・地域中,日本は7位,アメリカは36位。(要因はいろいろあるだろうから電卓の効用と関係づけるのは無理すじだと思うけど。)

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