2015年3月17日火曜日

LHC再稼働!!

CERNのLHC実験から、ヒッグス粒子の発見が報告されたのが、2012年7月。早いものでそれから3年近く経とうとしている。LHCはその後、エネルギー増強のために、2年間運転を停止していた。2年間は長いな〜と思っていたのだが、運転再開が目前に迫っているというニュースが入ってきた。


実験再開も目前だ。
エネルギーは13TeV。2012年の1.5倍以上になった。何ができるのだろう?
今よりはるかにたくさんのヒッグス粒子を観測して、その性質を調べることは必須。ヒッグス粒子の本質にどこまで迫ることが出来るのか楽しみだ。
でも、多くの人が期待しているのは、新たな粒子や現象の発見だ。もし何か見つかれば、初めて素粒子の標準理論を超えた現象を地上で観測できたことになる。(標準理論を超えた何かがあるのは、暗黒物質や暗黒エネルギーなど、宇宙の観測から分かっている。)
超対称性粒子?暗黒物質?余剰次元?いろいろな可能性が考えられているが、こればかりはやってみないと分からない。

さて、私が携わっている、国際リニアコライダー(ILC)とLHCはどう関係するだろう。

LHCで新現象が見つかるか、そのヒントが見えたら。
その正体をめぐって、山のような予想がでることは間違いない。それが何ナニだったら、ILCではこうなる。ヒッグス粒子の性質にはこんな影響がある。などなど、ILCでできること、できそうなことに具体的な予想ができる。新現象の正体を完全に解明するには、ILCによる精密な測定とそこでの新現象の探索がとても重要になる。エキサイティングなことこの上ない。

LHCで新しいことが全く見つからなかったら。
ヒッグス粒子やトップクォークという、あまり分かっていない粒子の性質に標準理論を超えた「何か」のヒントが隠れている可能性は高い。ILCの精密な検証能力が存分に発揮される場面だ。
(ヒッグス粒子やトップクォークをILCで必ず調べることができるといのが,とても重要なのだ。)
もちろん、LHCでは見えなかった、新現象を直接見つける可能性も決して低くない。これもワクワクの3乗?くらい。

LHCで新しいことが見つかったときと見つからなかったとき、どちらがILCにとって面白いか? 面白いというのは主観なので、人それぞれだけど、、、
私は、、、、どちらも面白いが、強いて言えば、LHCで何も見つからず、ILCで全く未知のことを探求する方が楽しいのかな。。。。。

兎にも角にも、今から1年後、2年後、LHCは我々に何を見せてくれるのだろうか?
これを書いているだけで、なんだかワクワク、興奮してきた。
(〜〜〜当事者でないのが悔やまれる。。。)


2015年3月15日日曜日

僕のガジェット遍歴


最近,facebookの方で,Apple Watchは売れるかという話題をふったら,結構コメントがあった。
私はあまり売れないという予想なのだ。その理由はを挙げれば
ガジェットとして新しくない。
必ず必要な実用品ではない。
と思うからだけど,
実は,理由よりも,経験からくる感覚の方が大きい。
 以前からいろいろなおもちゃを使ってきたのだが,何を使っていたのかだいぶ忘れてきた。そこで忘れてしまう前に,まとめておこうと思う。




電子手帳(PDA)の時代

イメージ
ザウルスPI3000

まず電子手帳(PDA: Personal Data Asistanceと言っていた)
電子手帳のようなものを初めて使ったのはいつかは覚えていないが,記憶に残っているのは,シャープのザウルスだ。
たぶん,PI3000だと思う。

 「液晶ペンコム」というキャッチフレーズだった。1993年のことだ。ザウルスはかなり気に入っていてその後もいくつかつかった。たぶんカラーザーウルスMI-504は持っていたと思うのだが,当時(1997年)11万円??もしかしたら安価なモノクロ版(MI-100)だったかな? 最後に買ったザウスルはSL-A300 「私はこれ1枚。紙の資料はもう要らない。必要な資料を選んで持ち歩く」というコピーが懐かしい。(今みたいに,資料を何でも入れる容量はなかったのね。。)2002年ころの話だ。
Chrono bit .PCと接続する
クレードルが就いていた。
充電もこれでする。

そのころもう一つもっていたのが,腕時計型のPDA。最初に買ったのはカシオのデータバンク。これはいまでも,時計ショップで見ることができる。どれを持っていたのか正確なところは記憶にないけど,たぶんHotbizだったと思う。そのつぎに,結構使いこんでいたのは,エプソンのChrono Bit。2000年ころかな?これはOutlookと同期できるのがよくて,気に入っていた。スケジュールを入れておくと,バイブで知らせてくれる。腕時計だと気づかないことがないので助かる。これで命拾い?したことが数回あったような。こちらの方が懐かしい解説をされています。

話がPDAに戻るが,ザウルスの後は,CLIEを使っていた。これはアメリカでかなりはやっていたPalm PilotというPDAをソニーが日本向けに売りだしたもの。なんと言っても軽く小さくて,レスポンスが良かった。かなり長く使っていた。もっていたのはPEG-TJ25というモデル。これまで使っていた中でも,最良の一つだった。2003年発売。

このころになると,もう携帯電話を持つのが普通になってくる。するとPDAに携帯の機能がつけばどんなに便利だろうずっと思っていた。今で言うスマートフォンだが,まだそんな言葉もなく。せめてPCのメールが読める携帯はないものかと思っていた。そんなとき目に入ったのが,今はなきASLTEのAJ-51というPHS。これはPOPに対応していたので,大学のサーバにアクセスしてメールを読める。とても重宝していた。発売は2000年。ザウルスと同じころに使っていたのだね。
でも,ハードの能力が低くて,レスポンスなど,基本的機能が不足しているに耐えられず。普通の携帯(今で言うガラケー)に変えた。
その後しばらくは,普通の携帯+Chrono bitやCLIEという組み合わせですごしていた。


スマホ前時代


そううしているうちに,海外でスマホのような携帯が出始めた。でも日本に入ってくる様子はなく,指をくわえて見ているしかなかったが,ついに,ソフトバンク(その頃はvodafone)がノキアの取り扱いを始めた。これは飛びつくしかない。。ということで,702NKを購入。2004年のことだ。私にとってはやっと,だがたぶん国内でスマホ(のようなもの)を使っていたのはごく少数だろう。その後Sofbankになって705NKに機種変更。スイッチを入れたときの独特の動作音も気に入っていた。(日本で聞くことはまず無かったけど,海外出張の際にはちょくちょく耳にしていた)

Vodafone 702NK (ボルドールージュ)
702NK
SoftBank 705NK (Nokia N73) ライトサンド
705NKII
Docomobold.jpg
ブラックベリーボールド

 ノキアの携帯もなかな気に入っていて,PCと同期するためのクレードルも手に入れて,実用品として十分になじんでいた。
しかし,,,そこに,ドコモがブラックベリーの取り扱いを始めるというニュースが入ってきた。,,,オバマ大統領も使う,当時世界でも最も売れているスマホだ。どうしてもほしい。。。ということで,ドコモに機種変(2009年)。あこがれのブラックベリーボールドだった。qwertのキーボード搭載。gmailもプッシュで届くし,メールを書くのも十分に実用的という,当時としては画期的な携帯だった。だた,これを使うにはBlackBerry Internet Serviceという独自のサービスを使う必要があって,これとの接続がうまくいかないことがときどきあるのが,不満だった。

ついにスマホ,その次は?

そしてついに,スマホの時。ブラックベリーは良かったが,iPhone, Androidとタッチ操作の携帯が一気に普及。ブラックベリーはRIMという弱小会社のため,AppleやGoogleには太刀打ちできない。OSや製品の開発スピードが圧倒的にちがう。ブラックベリーも新製品がでていたので,そちらにするかどうか考えたが,当たらしもの好きが勝って,Android携帯(Galaxy)を選んで,今にいたっている。

さあ,次はなんだろう。私は実用重視なので,携帯に機能を詰め込むのは興味が無い。(iPad miniも持ち歩いている)それに,メジャー携帯会社の料金は高すぎるとおもっている。すると,安価な,スマフォ+MVNOのSIMかな,,,
でも考えてみると,常時携帯がネットにつながっている必要がどれほどあるかも疑問ではある。町中のWiFiが充実してきたので,それで十分かも知れない。
wifiにつながる何か(iPodとかタブレットの小さいのとか)と電話(とSMS)だけができるフィーチャーフォンはありかな。今,目をつけているのはこんなの,なのだが,日本国内に対応していないので,断念。どこかが,かっこよくて機能を絞ったフィーチャーフォンを販売してくれないだろうか(もちろんSIMフリーで)

そうだ、一言追記。
SIMフリー携帯の中には、二つのSIMをさせるものがあるのだけど、今のところ国内で2枚同時に使える携帯は無い。(正確には、3G通信の同時に待ち受けができない) これができると、通話専用のSIMとデータ専用のSIMを別々に選んで不自由無く使える。でも今は、2枚さすことはできるけど、いちいち使うSIMを切り替えないといけない。ネットサーフィン中は電話を受けられないわけだ。
ちなみに、3Gと2Gは同時に使える。海外で現地の2SIMを買って入れておくと、海外と日本両用にできる。
携帯の次のトレンドは3G(LTEも)+3G同時利用のdual simだと思うがどうだろう。



2015年3月8日日曜日

未来エネルギーフォーラムシンポジウム

3月2日に早稲田大学で
第11回未来エネルギーフォーラムシンポジウム
 ― 国際リニアコライダー(ILC)計画のもたらすもの ― 
が開催されました。
このフォーラムはその名の通り、未来のエネルギーについてのフォーラムで、開催11回を数えるというとても活発な活動です。
今回はILCに焦点を当てるという、未来エネルギーという観点からは少し異色とも思える題目ですが、中身を見ると決してそうではありません。ILCという基礎物理学の研究計画と産業界や社会の関わりを再認識する機会となりました。産業との関係ということで、先端加速器科学技術推進協議会(AAA)と共催する事になり、私はAAAの広報部会員の立場で企画に関わりました。
 当日は前日までの曇天とうって変わって好天に恵まれ、春を実感する気候でした。それは良いのですが、花粉の季節の始まりでもあります。会う人毎にその話題。花粉はすっかり季節の挨拶になりましたね。

シンポジウムの前半は講演が3つ。
 まず東京大学の駒宮幸男さんによるILCの物理と計画の状況の話。駒宮さんは前日の夜にアメリカ(ILCの重要な会議)から戻られたばかりでしたが、その疲れも感じさせず、いつものように歯切れの良い話を聞かせてくれました。

 その次は、日本創生会議の増田寛也さんによる、ILCと地方創生の関わりについての講演でした。このような話題は知識として聞いたことがあっても、具体的な話を聞く機会はあまりません。ましてやそれがILCとどうかかわるか,地域創生や少子化との関連についてなどなど,私にとってはとても新鮮なお話でした。
 東京は他の地域に比べて出生率が低く,日本の人口の減少傾向をくいとめるには,地方を元気にすることが大切なこと。そのために,学校や病院など新しい施設を核とした地方都市の創成が重要だと言うことです。ILCができたら国際研究都市としてその核となることができるでしょう。基礎科学の研究がこんな形でも社会の役に立つことができる。ILCはそんな大きな構想だと言うことを改めて考えされされました。

 3番目は日本アイソトープ協会の柴田德思さんによる,加速器(放射線)が生活に果す役割についてでした。実は柴田さんは私が担当している授業に来ていただいてお話をして頂いたことがあります。その時のお話がとても興味深く,今回の計画を考えているときに直ぐにお名前が浮かびました。お話の内容は,工業,農業,医療の分野でその様に加速器,放射線が浸透しているかについて実例や経済規模も交えてお話下さいました。街を走っている車のタイヤの多くが放射線処理で強化されているって,ご存じでしたか?



 後半は,産業界と加速器や検出器の関わりを,実際に業務携わっている方からその最前線のことを話していただきました。私は司会を務めました。ILCと深く関わる超伝導加速器や電子管の開発,MRI設備として医療現場には欠かせない超伝導電磁石の話,そして私のような素粒子実験に携わるものにとっては加速器以上に身近な測定器開発のこと。短い時間でしたが,どの講演もとても興味深いものでした。私は加速器科学の技術が実生活にも深く関わっていることをよく講義や講演会で紹介します。今回そのお話を現場の方から直接聞くことができて,次に話をする機会にはもっともっと力強く話すことができそうです。

夕刻からは懇親会。シンポジウムに参加された250人のほとんどが出席され,とても賑やかに会になりました。このような場での情報交換もとても有益ですね。予定の2時間があっという間にすぎました。


 ILCの講演会というと物理や加速器,測定器に関することが多いのですが,今回は産業や地方創生という社会との関わりに焦点を当てたものでした。その広がりの大きさを改めて実感するよい機会でした。ある方は,(もちろん冗談だと思いますが)ILCの意義というのは物理とかとんな些末な(??)ものではなく,実社会に多く換言する実産業なのだと言っています。
あながち冗談でもないかも。。。