2016年2月28日日曜日

アインシュタイン人生最大の思いつき


地上で重りと羽を同時に落下させたら,重りが直ぐに落下して,羽はひらひらとゆっくり落ちます。これは地球上の空気抵抗のせいです。もし空気がなければ重たい物も,軽い物も同じように落下することが知られています。中学校の理科で習うでしょうか。ガリレオがピサの斜塔から物を落として実験したというこことでも有名です。
現代版の実験の様子がここにあります。

(長いので結果だけなら2分40秒くらいから)

地球上で物体がうける力,即ち重力は

質量×重力加速度

と書くことができます。重力加速度というのはいわゆるで,決まった値(常数)です。重力は重たい物ほど強く働くということを表しています。

一方,高校でニュートンの運動方程式というのを習います。

力=質量×加速度 (F=maと言うやつ)

力が大きいと加速度が大きくなる。同じ力でも質量が大きいと加速度は小さい(動きにくい)ということを式で表しています。
これとニュートンの運動方程式を合わせると

質量×加速度=質量×重力加速度

となります。これが地球上で物を落とした時の振る舞いを表す式です。
両辺に同じ質量があるので,地球上では

加速度=重力加速度

つまり,どんな質量の物体も落下の加速度はになります。
地上ではどんな質量のものでも同時に落ちることを証明したことになります。

ところが,です。
地球上で物体が受ける重力

質量×重力加速度

にでてくる質量と,ニュートンの運動方程式

力=質量×加速度

にでてくる質量は同じものでしょうか。
重力にでてくる質量は重力という作用によって物が引っ張られるときに現れるもの,重力質量と呼びましょう。ニュートンの運動方程式にでてくる質量は物体の動きにくさを表すもの,慣性質量と呼ばれます。こう考えると,同じ質量でも両者は異なる意味を持っています。言い換えると,重力質量と慣性質量が同じであるという理由はどこにもないのです。
なので,厳密には地球上での物体の落下を表す式は

重力質量×重力加速度()=慣性質量×加速度

です。こう考えていくと,ガリレオが実験で示した,重たい物も軽い物も落下の加速度は同じ,というのは,重力質量と慣性質量が等しいことを証明したという意味になるのです。ガリレオの時代の実験精度はそれほど良い物ではありませんが,今ではこのことは非常に高い精度で確かめられています。しかし,両者が等しいことを理論的に導くことはできないのです。あくまでやってみたら等しかった,という話です。

ここでアインシュタインの登場です。アインシュタインは重力質量と慣性質量が等しいと言うことを原理として採用しました。つまり

重力質量=慣性質量

は正しいと「仮定」したのです。これは,「等価原理」とよばれ,一般相対性理論のもとになった考え方です。アインシュタインが生涯で最も大きな思いつきといったくらい重要なものです。(アインシュタインはもう少し厳密な言い方をしていますが,,)


次週3月4日の重力茶会では,等価原理がなぜ重要というあたりから,重力について話を始めてみたいと考えていますが。いかが?

2016年2月21日日曜日

重力茶はいかが?

 最近,ブログの更新をサボっていて,いざ書こうと思ったら,あれも書いていない,これも書いていないと,,いろいろ出てきて,収拾がつかない。。
というわけで,過去のことは置いて,先の話(と言っても今日だが)を書こう。

昨年のノーベル物理学賞が梶田隆章さんとアーサー・マクドナルドさんに授与された。業績はニュートリノ振動に関してだ。その時,ニュートリノって何とか,幽霊粒子?とかちまたで話題になったこともあって,急遽(というほどでもないが)広島市で皆さんと語り合う機会をもった。名付けて「PUB Neutrinoノーベル賞緊急企画「ニュートリノってなんなのか飲みながら話す会だ。

10人くらいの小さな集まりだったが,来て頂いた方にはそれなりに楽しんでいただいたようで,当日都合がつかなかったあから次の機会を,という言葉も伝わってきた。そこで,ということで,広大カフェスタッフの小坂さんが第2弾を企画してくれた。それが今日。今度は,物理学賞だけでなく,医学生理学賞,化学賞の話と一緒に,自然科学系特集にした。場所は西条の居酒屋と屋さん。本日! 1時間半後に開演。こんな駄文を書いていて良いのだろうか。。。
 もちろん医学生理学賞,化学賞を話すのは私ではない。広大理学部のサイエンスカフェが誇るカフェマスター福原さんの出番。

これだけでも十分話題があると思っていたのだが,2月11日の大ニュースが飛び込んできた。「重力波の初観測。」。私は重力波の専門家ではないが,やはりこの話題に触れない分けにはいかないだろう。。ということで急遽この話題を入れることになった。今日はどんな話になるのだろうか。。ちょっと不安ではあるが,基本は飲み会ということで,言い訳にしよう。とはいうもののそれなりに出し物は作った。まず,重力波の音。これは重力波を発見した研究グループのHPでも聞くことができるが自分でも作ってみた。それと,やっぱり空間の揺らぎの説明にはこれ。ホームセンターで,ゴムシートとたらいと購入して自作。無いよりましというていどだが,,

この話,まだ続きがある。
ツイッターを眺めていたら,重力茶,英語でGraviteaというだじゃれが目に入った。我らがサイエンスカフェの名ファシリテータの温泉茶さんはそこら中でお茶を入れまくっている,お茶の専門家でもある。そこでちょっとしたノリで,「家元,重力茶所望です」といったら,本当に重力茶会が企画されてしまった。家元の行動力にはおそれいるばかりだ。重力波も重力茶も専門ではないのに良いのか,と自問しながら,「まっ,お茶会のネタにしてもらえれば良いか」と開き直っている。こちらは3月4日(金)紙屋町だ。。


真冬のワシントン

2月9日-14日までワシントンDCでUS-Japan Political Leader's Forum on Advanced Science and Technology (日米リーダーによる先端科学技術フォーラム) が開催されお手伝いで言ってきましたそのスナップショットはこちら
ここでは,それ以外の様子を少し。。

さすがに,この時期のワシントンは寒かった。気温は氷点下2~3℃くらいなので,ここ西条と変わりは無いかなと思っていたが,西条でその気温になるのは明け方のこと。ワシントンは午前中,つまり通勤にかかる時間まだそんな気温だった。ホテルから歩いて仕事場に言ったのだけど,その間,顔に当たる風の冷たさは尋常ではなかった。ワシントンDCに行くために,ダウンコートを新しく買ったのだが,本当これがなかったら大変だった。ここで生活している(大都会です)皆さんは大変だなと改めて思ったしだい。

泊まったのは,ホワイトハウスの直ぐ近く,毎日この辺りを歩いて出勤だった。
朝の風景
言わずと知れたホワイトハウス
今回宿泊したのは,実はホテルではなくて,家具付きのアパート。観光シーズンからは外れていることもあり,格安で,2ベッドルーム,2バスルームというとんでもなく広いところに泊まることができた。泊まるとこことができた。といっても,宿泊の手配が遅れたので,適当な値段の普通のホテルが空いていなかったということなのが。とにかく広い。

 

写真はリビングとダイニング(奥にキッチン),この他にベットルームとバスルームが二つずつというつくり。ここに一人で宿泊するなんてもったいない。一言だけ文句というと,このアパートを予約した会社,宿泊前と,チェックアウト前に,自宅に確認の電話をしてきた。内容はメールで来たものと同じ。時差を全く考えず,2回とも日本時間の午前2時30分ころだ。チェックアウトの確認なんて,本人が自宅にいるはずがない。いい迷惑だ。せっかく申し分の無い施設だったのに,画竜点睛を二度も欠いては,,,,

 さておきまりの現地での通信の話。11月にカナダに行ったときにはGigSkyという世界90か国以上で使えるというプリペイドSIMを購入して,現地でチャージした。今回も同じ。300MBで4200円。モバイルWiFiレンタルよりも安いのでこちらにした。00MBで足りるかどうか不安だったが,予想以上に無線LANがいろいろなところに整備されていたので,結果的には184MBの余った。後2日有効期間が残っているけど,行く予定はないな。。。


ワシントンDC滞在中の2月11日,LIGO による重力波の観測という大ニュースが飛び込んできた。直接これに関わってはいないが,素晴らしい話だ。専門家でもないのに,これを話題に一般の方と語りあう会をこれから2回もやることになった。実は,一回目は今日これから。。。その顛末はまた書こうと思う。