2013年12月29日日曜日

肩が痛い(50肩?)その2

前回、方が痛くて、整形外科に通っている話をした。今日はその続編。今年最後の更新になるかもしれないのに、50肩の話題とはいささかなさけないが、まあ良いだろう。

前回、痛みがひどくなって、痛み止めを処方してもらったり、理学療法を再開したことを報告した。その後、何度か理学療法をうけたが改善せず。直後は良いのだが、1時間くらいでもとに戻ってしまう。週一回炎症止めの注射をするときに医師と話をすると、こんどは針治療をすすめされた。今、通っている整形外科には、鍼灸院も併設されている。これは知らなかった。ちゃんと保険もきく。ということで、注射、理学療法(リハビリ)、鍼治療と西洋、東洋 医学総動員の治療となった。

 鍼治療は全くの始めて、なので初回は針になれるといころから。針を刺す時は、場所によってはちょっとちくっとするが、それ以外はなんともない。鍼灸師の方いわく、「初めてなので、あまり深くはさしません、12本さしますね。」ということだった。指す時に痛みはないが、二の腕あたりに、鈍い痛みを感じる。30分くれらいで終わったが、その後も時間程度、思い感じがのこった。ただ、痛みが改善したという感じはない。効果が現れるのは、2回〜3回目くらいかららしい。

1週間おいて、2回目の治療。ここから本格的な治療となるようだ。針を指したあと、奥まで入れているのがわかる。場所によっては「ズン」と響く感じ。鍼灸師さんもこちらの反応をみながら、慎重にさしている様子がわかる。つぼって本当にあるんだね。。鍼治療をうけるまえは、結構気持ち良いものかとおもっていたが、それははずれた。どちらかというと、我慢だ。2回目も30分くらい。終わった直後はとりたてて痛みがひいたようすもなく、次回以降お楽しみに、という印象だった。(医師からは、10回と言われている)でも、今まで押すと痛かったところが痛くなくなっているようだ。肩の動き自体は改善した様子はないが、少し期待がもてそうだ。
残念ながら年末年始の休みのため、次回まで2週間近く空いてしまう。もとにもどらなければいいな。。


2013年12月10日火曜日

肩が痛い(50肩?)

 半年くらい前からだろうか?左腕を動かすと肩から腕に痛みが走るようになった。最初はそれほどひどくなかったが,だんだん痛みが増してきたので,整形外科へ行った。
いつもの様に,レントゲン写真をとって,以上が見られないことを確認。いわゆる50肩(医師はそうは言わないが)。まず,関節に炎症止めの注射をして,定期的にリハビリに来るようにとのことだった。
 リハビリに行くと20分くらい肩の周りをマッサージしてくれる。確かにその時は痛みが和らぐ。それから週一回のヒアルロン酸の注射をすることになった。2週間くらい続けたのだが,11月に入って一週間出張のために中断した。肩は痛いが,良く聞くように,痛みで寝られないとか,夜中に目が覚めるほどひどくはない。それに,「何をしても結局2年くらいかかるよ」とか,「その内直るよ」とか吹き込まれたこともあって,出張を機に病院通いをやめてしまった。
しばらくは,痛みがひどくなることもなく,風呂で暖めたときに自分でマッサージしたり,つぼなるものを押すと,痛みが和らぐので,まあ,気長に放っておけば直るかな,,と思っていた。
ところが,中断から2週間くらいたったころだろうか,痛みがひどくなってきた。肩を動かし過ぎると激痛が走る。その後しばらくは腕の先までしびれたような感じ。なにか変だぞ,,そのうち,夜痛みで目が覚めるようになった。朝起きた時は腕全体がしびれている。これが世に聞く50肩か,,

再度リハビリを予約して整形外科へ。ふたたび炎症止めの注射とリハビリ。今度は痛み止めの飲み薬も処方してもらう(ロキソプロフェンです)。今回の痛みは重症。リハビリに一度行ったくらいでは痛みは和らがない。夜中に痛みが来るといやなので,寝る直前に痛み止めを飲んで寝るが,それでも明け方目が覚める。先日。スーパーで人を避けようとして体をひねった(ちょっとだけだよ)拍子に肩が動いたら,気が遠くなるほどの激痛。椅子を探して座り込んだ。なかなか大変だ。ここ数日,夜中の痛みは多少収まったてきたが,まだ寝る前の痛み止めは欠かせない。
今日は東京でプロジェクトの定例会議があって,その後懇親会だったのだが,出席する気になれず失礼してしまった。

 ネットで検索すると,沢山の人が苦労している。今考えると,最初に病院に行った頃は,まだまだ悪くなる途中だったのだろう。油断せずに治療を続けるべきだったかな。ネットや本でいろいろな対処法が紹介されいるけど,特効薬は無さそう。気長につきあっていくしかなさそうだ。

しばらくしたらまた報告しようと思う。

2013年12月3日火曜日

初めての授業参観

 授業参観に出ています。と言っても父兄参観ではなく、大学教員の授業参観です。他の方の授業を実際に見て自分の参考にするのが目的です。自慢できる話ではないですが、他の方の授業を拝見するのは初めてです。

 今日見学したのは基礎物理学の教養科目でした。波動に関する部分をやっています。最初にその日の内容のプリントとクリッカーの回答機が配布されました。
 まずクリッカーで質問。同じ問題について一度回答を集めたあと、学生同士で相談させて再度回答します。2度目は当然ですが正答率が上がります。これは良い工夫ですね。
授業は板書主体で進みます。板書は自体は文字はあまりなく、計算やグラフ主です。ちょっと気になって学生諸君がノートをどうしているのか周りを見渡してみました。ほとんどの学生は最初に配布されたプリントに書き込んでいます。なるほどノートは書きやすいですね。授業内容はプリントに書かれているので、板書が簡略化できるという効用がありそうです。ノートのまとめ方は学生諸君に是非欲しいことなので、どれだけ教員側が補助教材を準備するか、バランスのとりどころです。専門科目、教養科目でも違うでしょう。クリッカーでの問題、板書での説明を織り交ぜながら進んでいきます。一方通行にならないように工夫されています。
 
 聞きながら思ったのですが,この講義室にはサブスクリーンがありません。情報機器を使った教材の提示と板書を両立するには教室の横に比較的大きめのサブスクリーンとか数カ所にディスプレイの設置が必要だと思います。この講義室は正面に大きなスクリーン(これを下ろしたままでは板書はできない)と正面の黒板の上にちょっと大きなディスプレイがあります。板書しながらだと黒板上のディスプレイを使うことになるけど,小さくて教室のうしろからではよく見えません。もっと整った講義室もあるのだけれど。。視聴機器はずっとスライドを映しっぱなしで使う講演やセミナーのために作られていることが多く,授業に使うという視点が欠けていることがよくあります。(そういう意味では広島大学の総合科学部の講義棟は頑張って整えている方だと思います。)

 自分の担当している授業を考えていました。私の場合は、受講人数が多くてクリッカーの回答機を配ることができません。(数も足りないし、たとえ数があっても配布、回収が一人では困難) それと、今日の授業が教養科目なのに対して私の場合は物理の専門科目です。教員側がどれだけ「親切」であるべきか?なやみどころです。
でも授業(講義)に双方向性を取り入れることはやってみたい。授業中にTwitterで質問をつぶやいてもらうのはやりすぎかな。

2013年11月24日日曜日

Kindle最初の一週間


 先週,東京で行われた国際会議(LCWS2013)の帰り,有楽町で電気店によって,ついKindle Paperwhiteを買ってしまった。(つい,といっても,その気で電気店に行ったのだけど,,)
 電子書籍リーダーにはず~と前から関心をもっていて,10年くらい前に,ビブリエとかシグマブックが発売になったとき,当時は取り扱っているところもすくなく,東京の書店の店頭でやっと探し当てて触ってみた。結局その端末はほとんど普及せずに終わってしまった。
その後,しばらくしてAmazonがKindleを出したが,米国のAmazonが取り扱っているだけ。当然日本語には対応していない。それでもほしくて,Amazon.omのアカウントとつくって,Kindle2を購入。英語の本が読めただけだったが,それなりに楽しめた。その後,Kindleが日本語に対応して,Amazon.co.jpで日本語の本も買えるようになったが,残念なことにKinlde2は英語のみ。でもKindleはAndroidやiOSの無料アプリがあるので,Kindleストアから本を買って,iPadや携帯で本を読んでいた。それはそれでなかなか快適なのだが,やっぱり読書に特化した端末がほしい。でもこれ以上カバンを重たくしてもたまらない。悩んでいたが,Kindel Paperwhiteはちっちゃくて軽い。これなら何とかなりそう。電気店に行くと,今なら1980円分のクーポンもついていると,そそのかされて(?),購入となった。有楽町から羽田に向かうモノレールのなかで,設定もすべて完了。すでにKindle本は和書,洋書とも持っていたので,まずはそれをダウンロードして使い始めてみた。

Kindle2に比べて,画面の反応がとても早くなっている。e-inkの難点の一つがこれだったが,大分よくなった。もちろん液晶に及ぶべくもないが,スクロールができるようになっていたのは予想を超えた進歩だ。そうそう,画面がタッチパネルになったのも大きい。

 さて,購入から一週間。
 
 やはり文字は読みやすい。明るいところでも読めるのは液晶とは全く違う。それと逆に真っ暗なへやでも読書できるのは良い。(Kindle2はライトはついて無かった)。夜,眠りに就くまで明かりを消してベットの中で読めるのはいいな。明るすぎないのでまわりに迷惑をかけないのが良い。電池の減りも気にしなくて良いし。ただ,画面の操作は液晶にはまだまだ改善の余地がある。期待したい。

ソフトの面は,,Kindel PWに限ったことではなく,iPadでもAndoroidでも同じだが,いつでも夜中でも,本を購入してダウンロードできるのは便利だ。それと,どれだけ本を持ち歩いても重たくない。本の値段もちょっと安いかな。
今,特に考えているのは,著作権の切れた作品を改めて探してみること。自慢できることではないが,「我が輩は猫である」はまだ読んでなくて,早速無料でダウンロード。あと,吉川英治さんのシリーズが手に入るのいいな。「宮本武蔵」全編が100円!。値段もすごいけど,全編持ち歩けるのがすごい。

出張の友に最適の1台となりそうだ。すると,,飛行機の離発着時の電源offが痛い。広島ー東京便だと1.5時間のフライトのうち40分かそれ以上は電源を入れられない。アメリカでは離発着時の電子機器が解禁になったようだ。早く日本も。。。

2013年11月6日水曜日

クリッカーを使ってみよう(セミナー裏話編)

 昨日(2013年11月5日)理学融合センターのランチタイムセミナーで「クリッカーを使ってみよう」と題して、お話をしました。
その時の様子をさっそくHPで紹介していただきました。

ここでは、いつものように裏話を、、、

クリッカーはこれまでにも、講演などで使ったことがあります。その時の様子はこちら。今回、クリッカーを実際に使おうと考えている教員の方が多いこともあり、少し凝った使い方に挑戦してみました。これまでは、プレゼンの最中に、アンケートをとったり、問題を出して、その結果をリアルタイムに表示するだけでした。それでも結構面白いのですが、聴講している方それぞれのみなさんの情報は分からない。つまり全くの匿名だったのです。今回は、一歩進んで、誰がどのように答えたのか分かるように準備しました。

どうやったか。
クリッカーの回答機にはそれぞれ固有のID番号がついています。ID番号は複雑なので、それぞれに1番から始まる通し番号のシールを貼りました。次は、固有IDと通し番号の対応付。これはいちど作って表にしておけばOK。クリッカーのソフトには,表を予め読み込んでおいて、回答を集計する機能があります。さて、これで回答機は識別できるようになったのですが、まだ誰が何番を持っているのかは分かりません。回答機を配る時に名前を書いてもらえば良いのですが、芸がないですね。それにゆくゆくは授業でも使いたいので時間のかかる方法は使えません。そこで、出欠記録ソフトと連動させることにしました。大学の学生証や、職員証はICカードになっていて,記録されている職員番号や学生番号をFelicaリーダーで読むことができます。FelicaリーダーはPASMOとかスイカを読む機械で安く手に入ります。実は私は前々から持っていて、授業の出欠記録にも時々つかっているのです。まず、これらた方に職員証(学生証)をかざしてもらい、順番に1番の回答機から渡します。すると職員番号(学生番号)が順番にならんだ表ができます。(ソフトが大学で配布されています。)次に、エクセルを使って、予め作っておいた回答機IDと通し番号対応表に職員番号表を合わせます。これでうまくいくはず。なんどか練習して、ファイルの編集や、クリッカーソフトへの読み込みがスムースに行くように準備しました。

さて本番、皆さんに順番に職員証をリーダーにかざしてもらって回答機を手渡します。
(ところでこの自動出欠管理ソフトの存在を知らない人が結構多いのですね。でも考えてみたら、Felicaリーダーを個人で持っている人もあまりいないか。。)
終わったら、エクセルでファイルの統合、クリッカー用ソフトを立ち上げて表を読み込み。ここまで5分くらいでできたかな。

 さあセミナーの開始。
あれ、パワーポイントが立ち上がらない。クリッカーと連動させるために、パワーポイントもクリッカーソフトから立ち上げるのだけど、既にパワーポイントが動いているといってエラー。でもそんなことはないし。もしかしたら、と思ってプロジェクトマネージャーを立ち上げてプロセスを見ると、パワーポイントが残っていた。これを強制終了して、再挑戦。こんどはうまく始まった。そう言えば以前も同じようなことがあった。このクリッカーソフト、これだけではなくて、いまひとつ(というかかなり)安定感にかけるのだよ。
こんどこそ、、、、
まず、クリッカーの紹介を兼ねて最初の問いかけ、
あなたは?
  男性
  女性
 その他
ちょっとうけた。出だし好調と思ったら、回答を受け付けていない。おかしいな。おっと、パソコンに受信機(USB)を取り付けるのをわすれていた。せっかくうけたのだけど、もう一度始めから。こんどはうまく行った。
アンケートの例です。

話が進んで最後の問題。B787はどれ?答えて頂いたあと、つぎのページが今日のハイライト。誰が早く答えたか。




10位まで表示。。。。。の筈が、回答時間は出たのだけど、その横に表示されるはずの職員(学生)番号が別のものになっている。あれれ、、、そうか。最初にパワーポイントが立ち上がらずにいろいろやっていたので、せっかく作った表を読み込むのを忘れていた!残念。。。次のページがハイライトその2、これまでの問題の得点を集計して順番がでるはず。これも得点は表示されたけど、誰の得点か分からない。
う〜む。やっぱり本番はむつかしいな。
それでも、一通りできることは紹介できたと思う。話の後,問題の作り方の紹介もして、セミナーは終了。
聞かれた方の感想もまずまずだったかな。


ところで、クリッカーにだけでなく、いろいろな情報機器を講演会とか授業に使う効用というか理由だけど、Khan アカデミーで有名なSalman Khan氏がTED talkで言っていたことが最近気に入っている。今回のセミナーの締めもこれだった。

Using Technology to Humanize the Classroom

どうですか ?


2013年11月2日土曜日

大学入試が変わる?

 先日、つくばに向かうため秋葉原からつくばエクスプレスを利用した。夜の11時近くだが車内は満席。半数は女性、高校生らしき乗客もいる。列車は当然のように定刻に到着し、乗客はコンビニに立ち寄って、当然のように夜道を帰っていく。見慣れた光景だが、世界で同じようなことをみかける国がいくつあるだろう。昼間でも、女性どころか男性でも安心して列車に乗れない国も少なくない。
これまで10指に余る数の国を訪問した。できるだけ安心して行ける場所を選んでいる。その経験からも、 日本が世界有数の暮らしやすい国であることに間違いはない。そうなることができた理由の大きなところは、教育だろう。物事に完璧はない。我が国もいろいろな課題を抱えている。教育もまた然りだ。だが、これまでの教育システム大きな欠陥があったとしたら今の日本があるだろうか。

  教育再生実行会議が大学入試の抜本的改革を提言した。大学入試センター試験を廃止して複数回受験可能な「到達度」試験になり,多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換を図るらしい。提言によると,大学入試センター試験は「知識偏重の1点刻みの選抜」を助長するとある。本当か? 試験なので点数はつく。しかしセンター試験を合否にどのように使うかは,大学毎に異なる。各大学ともその大学にふさわしい学生が来るように,工夫を重ねている。それに,センター試験そのものは,良問が多くレベルの高い試験だ。AO入試も、そのあり方に改善点があることを否定はしないが,多様な学生に対応できるように,改善の努力を続けた結果だ。

 私はセンター試験試験の前身の共通一次試験の世代だ。それから30年以上経ったことになる。その間、共通1次がセンター試験になり、ここ10年ではAO入試が大きく導入された。今回の入試改革はこの現在の入試の方法の反省がもととなっているのだろう。だが、忘れてならないは、センター試験以前の体制で教育を受けた世代が、戦後の高度成長をなしとげ、現在の社会を作り上げてきたと言うこと,そして,センター試験の世代は今働き盛りの年代として日本を支えている。

今回の提言は,「変える」と言うこと自体が目的となっている印象を受ける。社会は変革を続けている。グローバル化の流れが顕著なのは,私も感じている。それに対応するだけでなく,より明るい未来を築くために,たゆまぬ改善は教育のあり方にも重要だ。しかし,その目的は,我が国(いや,世界と言うべきだろう)の未来を担う人材の育成だ。そのために必要なのは,現在の教育の欠点ばかりをあげてそれを強調するのではなく,世界有数の経済発展と安全を同時に成し遂げた我が国の教育システムの長所をみいだし,それを伸ばすことではないだろうか。






2013年10月9日水曜日

キカイオンチ?

 今、KEKから広島に戻る機中。何気なく手に取った機内誌の、吉田修一さんという方の書かれた、空の冒険第49回キカイオンチ、と言う文章に目が止まった。この方,機械に弱いそうだ。それにまつわる経験が3つ紹介されている。
 一つは, ワイヤレスの扇風機のバッテリー充電スタンドに置きっ放しで,本体が動かなかった話。充電スタンドを電力をワイヤレスで送る装置と思い込んでいたとのことだ。2番目はプリンターのケーブルの差し込み不良に気づかず、本体を修理に出した例。3番目は、携帯の機内モードというのが何故あるのかつい最近までご存知なかったとのことだ。
 読み始めた時は、機械に弱いと言われる方が、どのよう体験をしているのか,それを通じて機械に弱い方が何故弱いか,その理由の一端が分かるかもしれないと思っていた。しかし,読み終えて考え込んでしまった。分からない。
 私は機械に弱い方ではない。自分で言うのもなんだが、どちらかと言うと強い方だと思う。でも、機械の用途や性能を勝手に決めつけて上手くいかなかったことは多々ある。扇風機の電力をワイヤレスで転送する装置は現実的でないとは思っていても,機械の機能や性能について勘違いすることはある。ケーブルの差し込みについても,つい最近カメラに入力した音がおかしいと業者の方に言ったらマイクジャックの差し込みが不十分で,業者の方から睨まれた。機内モードは知っているが、パソコンにしても何にしても知らない機能はいくらでもある。
  機会に弱い人と、(たぶん)そうでもない私は何が違うのだろう? 著者の吉田さんによると、機械のを信じ切っているがために、その精密な内部で何か計り知れないことが起こっていると考えるのだそうだ。それに上手くいかないとすぐに諦めて,修理センターに送ればいいと考えられるとのことだ。
2番目は確かに私の対応とは違うようだ。私の場合、まず自分でなんとかしようとする。取扱説明書をみたり、webで同じようなことが起きていないか調べたりすることをあまり苦にしない。でも精密な機会の内部で何が起こっているのか分からないことは別に珍しいことではない。
 なんだか,機会いに弱いと言われる方と,そうでもないと考えている私に本質的な違いは無いように思えてくる。ただ,私の場合,機械の動作がほぼ正しい(つまりうまく動かない時は自分が間違っている)と考える一方で,所詮は人が作ったものだから完璧であるはずはない,とも考える。そのバランスの問題なのだろうか?そのバランス感覚はどうやって養われてきたか。いろいろな機械いじりやコンピュータプログラミングなどの経験を通うじて身につけたと思う。先ほどの扇風機にしても,将来それが実現しても不思議ではない。ただ私は経験的に今は無い,というのを知っているだけだ。機械をいじることや,取り扱い説明書を苦にしないのも,経験の積み重ねが大きい。

結局このような経験をするしない,という分かれ道はどこなのか?分からない。。

2013年9月10日火曜日

なぜマイナーコードは寂しいの?


 私たちの研究室では毎年,夏の学校と称する研修を行っています。日頃の研究テーマと関連していてしていなくても良いので,院生もスタッフも何か科学に関する話をすることしています。(4年生だけは,卒業研究の話です。)毎年何について話すか,悩ましいのですが,今年は,音をテーマにすることにしました。きっかけはTEDで聞いたこの話です。

メジャーコードとマイナーコード
メジャーコード(長調)は明るく,マイナーコード(短調)は寂しく響くと言われます。YouTubeにもいろいろな曲をメジャー,マイナーで聞き比べ投稿がみつかります。例えば有名なアニメのテーマソング: ヘ長調(Fです。ヘ短調(Fmにしてみます。財布を忘れても平気という雰囲気ではないですね。もう一つ,ベートーベンの悲愴の冒頭です。変イ長調(Aです。変イ短調(Am)にしてみます。悲愴というより悲惨?でしょうか(演奏が下手だから悲惨は別にして)。

この違いは何故できるのでしょう。まずメジャーコートとマイナーコードの違いをおさらいです。
現代音楽はAの音440Hzを基準としていますので,そこから考えましょう。Aコードはイ長調のドミソ,鍵盤上で表すと,こうです。

 

図1 和音:Aコード(左)とAmコード(右)のピアノの鍵盤での位置

左から2番目の音が半音下がっただけですね。ピアノの音で聞いて見ましょう。A, Amの順番です。Amの方が寂しげな音がしますか?

音階とコードの話。
 ところで,先ほどA440Hzと言いましたが,他の音はどうなっているのでしょうか。現代の音楽で最も使われているのは,平均律という音階です。音の高さを考える時には,オクターブが基本となります。1オクターブというのは,周波数が2倍,A440Hzの時その1オクターブ上のA880Hzです。平均律では,1オクターブの間が同じ比率になるように12段階に分けています。
つまり,基本の音を440Hzとすると




メジャーコードはn=0,4,7を一緒にならします。マイナーコードは,n=0,3,7です。
具体的に,Aコードは
A        440Hz
D     554.365Hz
E        659.255Hz

Amコードは
A       440Hz
C:       523.251Hz
E:       659.255Hz
となります。AAmの違いはDCの違いたった31.1Hzです。この違いが,AAmの響きの違いを作っているのです。不思議ですね。

音色について
 ところで,メジャーコートとマイナーコードの響きの違いは楽器だから現れるのでしょうか。Aの音440Hzと言いましたが,440Hzの単純な音(シングルトーン)というのはこんな音です。楽器の美しい響きとは少し違います。(ちなみに,NHKの時報の音。プッ,プッ,プッ,プーンのプッは440Hz,プーンは880Hzです。)ピアノのAの音はこのように聞こえます。シングルトーンとピアノの音の違いは,周波数のスペクトルです。ピアノのA音は純粋な440Hzではなく,そのオクターブ上,2オクターブ上など,倍音がいろいろな比率で混じっています。その様子を周波数スペクトルで表すとこうなります。

    

図2 ピアノのA440zHz)のスペクトル(左)と440Hzシングルトーンのスペクトル(右)。横軸は周波数,縦軸は音の強さ。ピアノの音は,440Hzだけでなく,その整数倍の周波数の音が混じっています。

それでは,メジャーコードとマイナーコードの響きが違って聞こえるのは,楽器の音が複雑なスペクトルを持っているからなのでしょうか。ADEACEに相当する周波数のシングルトーンの重ね合わせではどうなるのでしょうか? それもやってみます。
ピアノの時とは大分違いますが,メジャー,マイナーの響きの違いは十分に聞き取れます。つまり,楽器のように複雑な音でなくても,マイナーコードとメジャーコードの違いはでてくるようなのです。

マイナーコードとメジャーコードの解析。

まず,音のスペクトルをみてみます。

 

図3 シングルトーンの音3つで作ったAコード(左),Amコード(右)のスペクトル。横軸は周波数,縦軸は音の強さ。

Aコードは(440Hz554Hz659Hz),Amコードは(440Hz523Hz659Hz)に対応する3つの山があります。AAmで山の間隔が違いますね。この辺りにヒントがありそうです。今度は音波の波形を見てみましょう。

   

図4 Aコード(左)とAmコード(右)の音波の波形。横軸は時間,縦軸は音波の振幅。

どうでしょうか。AコードもAmコードも,等間隔の波,つまり一定の周波数の振動が見えますが,Aコードの方がよりはっきりとわかります。この振動は二つの周波数の異なる波が混じったときにおこる“うなり(ビート)”と呼ばれるものです。詳細は下記,“おまけ”を見てください。

平均律と純正律
 もう一度スペクトルを見てみましょう。ぱっと見て分かるように,A3つの音の周波数がほぼ等間隔に並んでいるのに対して,Amは偏っています。この違いが音波の波形の違いをつくります。これが本質だと思うのですが,Aの波形もいまいちきれいではない(図4左)。その原因は何でしょうか。前に言いましたように,現代音楽の音階は平均律で作られています。すべての隣同士の音の周波数比が一定です。それに対して純正律という音階があります。これは,音の周波数の比が簡単な整数で表せるようにしたものです。こちらの方が,和音にしたときの関係はよく分かります。平均律と純正律をまとめたのが下の表です。

 表1 平均律と純正律の周波数の比の表。
音程(Aから
平均律の周波数比
純正音程
完全1度   A
 = 1
1
短2度     B
 = 21/12  ~1.0594
16/15 ~ 1.067
長2度      B
 =  21/12  ~1.122
9/8   = 1.125
短3度   C
 =  21/12  ~1.189
6/5    = 1.200
長3度   D
 =  21/12  ~1.256
5/4     = 1.250
完全4度  D
 =  21/12  ~1.133
4/3    ~ 1.333
減5度   E
 =  21/12  ~1.414
7/5    = 1.400
完全5度  E
 =  21/12  ~1.498
3/2     = 1.500
短6度   F
 =  21/12  ~1.587
8/5     = 1.600
長6度   F
 =  21/12  ~1.682
5/3     ~ 1.667
短7度   G
 =  21/12  ~1.782
16/9   ~ 1.778
長7度   A
 =  21/12  ~1.189
15/8 = 1.875
完全8度  A
 = 2
2






















純正律では,3つの音の周波数比が
    Aコードは 1 : 1.25 : 1.5  440Hz550Hz660Hz
 Amコードは 1 : 1.2 1.5440Hz528Hz660Hz
となります。スペクトルはこうです。

   

純正律のAコード(左)とAmコードのスペクトル。平均律のときより違いが分かりやすいですね。

Aコードは周波数がきれいに等間隔に並んでいることが分かります。3つの周波数が等間隔だけでなく,それぞれの周波数がその差(110Hz)の4倍,5倍,6倍と,うなりの周波数の倍音になっているのです。その様子は,音波の波形にも現れます。

   

純正律のAコード(左)と,Amコード(右)の音波の波形。平均律に比べて,よりはっきりと違いがわかります。

Aコードの方がきれいな波になっていますね。音の違いはこんな感じ。

ちなみに再掲

私の耳では,あまり違いは分かりません,みなさんはどうですか?

結局?

 マイナーコードは何故寂しいのか? 結論は,皆さんにお任せします。メジャーコードの方が,コードに含まれる音階の周波数の差が倍音の関係になっている(近い)ということは言えるようです。寂しいとか明るいというのは,単純にいえることではありませんが,マイナーコードとメジャーコードの違いが数値的もあるのは確かなようです。


おまけ1,2音のうなりと,不協和音

 2つの音をまぜると,“うなり”が聞こえます。二つの音の周波数の違いによって聞こえ方は様々,あるときは耳障りの良くない不協和音,あるときにはそれもどでもありません。その効果がマイナーコードとメジャーコードにも影響するのでしょうか。考えてみます。まず“うなり”について。


うなりの様子を音の波形はみましょう。

  








 

上図は青(100Hz)と赤(125Hz)の二つの波をそのまま重ねて書いたもの。下図ははそれら二つの波の足し算した波形。

二つの波を足し合わせた下図が,実際に聞こえる状況です。大きなうねりが見えますが,これが“うなり”を作ります。大きな山と山の間隔は足し合わせた二つの波の周波数の違いに周期に対応します。(周期が周波数の違いの逆数になっています。)このように周波数の異なる波が重ね合わさると,その対応するうなりが生じます。これが実際にどのように聞こえるのかやってみましょう440Hz440Hzから600Hzを連続的に変えながら重ねてみました10秒つづきます。) 二つの周波数が非常に近い時は音の強弱の変化が聞こえますが,離れるにつれて,次第にブザーのような耳障りな音になります。もっと離れると,二つの周波数は分離して聞こえてきます。よ~く聞くと,二つの周波数の差に対応する低い音が聞こえるのがわかるでしょうか。

分かりやすいようにいくつかの音の組み合わせでやってみます。
 音の強弱が聞こえます。うなりという表現にぴったりですね。
 強弱の変化は聞き取れなくなり,ブザーのような音です。
ACに相当します。先ほどの440Hz460Hzの時のように耳障り(不協)な感じはないと思います。いかがでしょう。
ADに相当します。440Hz552Hzの時とは,聞こえ方は違いますが,こちらも耳障り(不協)とは違うと思います。

いかがですか? 一番耳障り聞こえたのは440Hz460Hzではないでしょうか。音階のACに相当する440Hz523Hzと,AD440Hz554Hzの違いはどうでしょう。もちろん違って聞こえますが,どちらが不協といは言い難いと思うのですが,いかがでしょうか? 実は2音の場合の不協具合を調べた研究があります。詳細は小川厚さんの「音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか」にあるということですが,読んでいません。ごめんなさい。周波数の違う2音を同時に聞いた時に,ある程度離れたところで不協に聞こえ,それ以上離れるとだんだん不協和音には聞こえなくなるらしいのです。ACADも不協に聞こえるよりも離れているようです。つまり,マイナーコードとメジャーコードの響きの違いは2音の不協度ではないようなのです。

おまけ2: 平均律と純正律のドレミ

おまけです。平均律と純正律のどれみがどのうように聞こえるかやってみました。
440Hzから始める A(イ長調)です。

平均律のA

純正律のA

違いが分かりますか?

平均律と純正律をB(ロ長調)に転調してみます。

平均律のB

純正律のB

平均律は周波数の比が同じなので,ドレミの音階の聞こえ方はAもBも同じです。ところが純正律は,基準の音を決めて音の比を定めています。今の場合は,Aの440Hzを基準に音階を決めました。ですので,それを単純に2度あげてBにするとドレミの音の比も変わるのです。違いがわかりますか?

参考文献
小方厚さんの「音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか」は,拝読していないのですが,読まれた方からコメントをいただきました。

スペクトルの解析には, 
SoundEngine free    http://soundengine.jp/

音信号の発生には,
Wave Gene (Windows)         http://www.ne.jp/asahi/fa/efu/soft/wg/wg.html
SGenrator  (iPad)               http://sgenerator.scorpionzzz.com/en/index.html
Mathematicaは音の発生,波形の加工や図の作成に使っています。

ピアノの音は
 ピアノHD(iPad)
 KAWAI CA65 電子ピアノ
を使いました。