2014年9月1日月曜日

野球の打順について考えてみた

昨年も報告したが,私たちの研究室では毎年夏に研究室夏の学校と称して,セミナーを行っている。夏の学校では,参加者全員が何でも良いので科学に関連する話題を発表する(ただし,4年生は卒業研究の話)。学生諸君も一所懸命に話題を考えてくるので、とても楽しい。私の昨年の話題は「なぜマイナーコードは寂しいの?」 だった。

 今年は当初、素粒子物理の真面目な話をするつもりだったが、学期末からお盆、国際研究会と続いて、とて準備ができそうにない。そこで8月2日に行ったサイエンスカフェ「太陽系ができるまで、100億年の物語」を少し専門的にして繰り返そうと考えていた。昨日,そう考えて準備も大体終えだが、聴取が違うとはいえ、同じ話をするのはちょっと寂しい。そこで急遽、新たに話題を考えてみることにした。タイトルは

「野球の打順に意味はあるか?」 

前からちょっと気になっていたのだが、野球の打順にはよく言われるセオリーがあるようだ。
たとえばこんな感じ

打順 特徴                たとえば
1   出塁率高い            イチロー
2   犠打うまい,最近は強打者? 土井ー>坂本
3   高打率、長打力         秋山、長嶋
4   ホームランバッター       王、山本浩二
5   3番、4番に次ぐ好打者     衣笠
6   ?
7   ?
8   ?
9   1番につなぐ必要もある    ピッチャー多い

(6番以降はどんな考え方が良いのかよく分からない。)

さて,このセオリーは本当だろうか?単純に打率の高い打者に打撃機会が多くなるように,1番から順に並べれば良いのではないだろうか?簡単に調べることはできないか考えてみた。
まず,打者の成績が必要だ,例として広島カープの1978年の代表的な打順を使うことにした。参考にしたのはこちら。

打順  選手     打率
1   高橋義彦  .302
2       村敏之   .249
3    ライトル        .296
4       山本浩二      .323
5       水谷実雄      .348
6       ギャレット      .271
7       衣笠祥雄      .267
8       水沼四郎      .271
9       北別府学      .101

ピッチャーはこの年代の代表的な投手として北別府学選手を考えた。選手の1978年の成績の詳細は,日本プロ野球記録を参考にさせていただき。それぞれの選手について,

単打,2塁打,3塁打,本塁打,四死球,三振,内野ゴロアウト,外野飛球アウト

の確率を計算した。ただし,内野ゴロと外野飛球の確率は直接は分からないため,全打席数から安打,四死球,三振の数をひいた残りを凡退と考えて,その数を1対1で分配した。ただし,投手の北別府選手は1978年だけでは統計が少ないので,通算成績を使った。

次は試合の内容をシミュレーションする方法を考えなければならない。
ランナーが塁を埋める状況について
走者無し,1塁,2塁,3塁,12塁,13塁,23塁,満塁
の場合について,前述の打撃の結果どうなるかを想定し,全部で64通りの場合を表にした。

 一塁安  二塁安  三塁安  本塁  四死球  三振  内ゴ 外飛
 0 0  010  020  030  100  010  001 001 001
 1塁 1  040/060  050/120  130  200  050  011 002/011 0011
 2塁 2  110/060  120  130  200  050  021 021/031 021/031
 3塁 3  110  120  130  200  060   031 031/101 101
 12塁 4  140  150/220  230  300  700  041 012/041 041/061
 23塁 5  210  220  230  300  700  051 051/121 121/131
 13塁 6  140  150/220  230  300  700  061 032/061 111
 満塁 7  240  250  330  400  170  071 052 151/161

少し見にくいが,横は打撃結果,縦は走者状況(0-7の通し番号をつけている),3桁の数字は結果を表している。
3桁の意味は,
100×得点+10×後の走者状況+アウトの増加
だ。

例えば,
0,1塁安,010は,走者無しで単安打,得点0,走者1塁,アウト増加0
1塁,内ゴ,002は,走者1塁で内野ゴロ,得点0,走者無し,アウト増加2(ダブルプレー)
13塁,外飛,101は,走者13塁で外野飛球,得点1,走者1塁,アウト増加1(3塁走者タッチアップ)
を表している。

結果が一つとは限らない場合もある。走者が1塁にいるときに2塁打が出た場合,1塁走者は生還する場合もあれば,3塁止まりのこともあるだろう。その場合2種類の結果が同じ確率で起こるとした。その他想定すればきりがないが,そこは割り切って表の場合のみが起こるとして,シミュレーションしている。


このデータを元に,130試合をシミュレーションして,試合の得点分布をつくった。打順は前述の表に示した当時の打順だ。その結果がこれである。比較のため,1978年の実際の得点分布もグラフにした。簡単なシミュレーションだが,びっくりするくらいよく合っている。

 では,打順を代えるとどうだろう。同じ1978年の打者データを使って,打率の高い順を打順として同じようにシミュレーションした。結果は実際の打順とほとんど変わらない。今度は逆に,打率の低い順番に並べた。さすがに平均得点が落ちたが,それほどの大差は無いといえるだろう。





そこで気になるのは,今年,2014年のカープだ。今年8月下旬ころのカープの打順をこのように想定した。

1 堂林 翔太
2 菊池 涼介
3  丸 佳浩
4  エルドレッド
5  梵 英心
6  キラ
7  小窪
8  會澤 翼
9  前田 健太

 まだ今年の成績は出ていないので,打撃成績は昨年のデータを用いて,シミュレーションを行った。その結果はこの通り。2013年と2014年の実際のデータとともにグラフにした。
シミュレーションより,実際の方が平均得点が高いが,昨年の方がシミュレーションと実際の結果は近い。打撃データは昨年のものなので,妥当だろう。今年はかなりよく打っていると考えられる。しかし,それでも平均得点は,1978年の打率反対オーダーより低い。やはり今年の好調は投手陣のがんばりが大きいようだ。

なにはともあれ,今年のカープは優勝も夢ではないところにいる。(9月1日現在)楽しみ!


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