今年は当初、素粒子物理の真面目な話をするつもりだったが、学期末からお盆、国際研究会と続いて、とて準備ができそうにない。そこで8月2日に行ったサイエンスカフェ「太陽系ができるまで、100億年の物語」を少し専門的にして繰り返そうと考えていた。昨日,そう考えて準備も大体終えだが、聴取が違うとはいえ、同じ話をするのはちょっと寂しい。そこで急遽、新たに話題を考えてみることにした。タイトルは
「野球の打順に意味はあるか?」
前からちょっと気になっていたのだが、野球の打順にはよく言われるセオリーがあるようだ。
たとえばこんな感じ
打順 特徴 たとえば
1 出塁率高い イチロー
2 犠打うまい,最近は強打者? 土井ー>坂本
3 高打率、長打力 秋山、長嶋
4 ホームランバッター 王、山本浩二
5 3番、4番に次ぐ好打者 衣笠
6 ?
7 ?
8 ?
9 1番につなぐ必要もある ピッチャー多い
(6番以降はどんな考え方が良いのかよく分からない。)
さて,このセオリーは本当だろうか?単純に打率の高い打者に打撃機会が多くなるように,1番から順に並べれば良いのではないだろうか?簡単に調べることはできないか考えてみた。
3 ライトル .296
4 山本浩二 .323
5 水谷実雄 .348
6 ギャレット .271
7 衣笠祥雄 .267
8 水沼四郎 .271
9 北別府学 .101
4 山本浩二 .323
5 水谷実雄 .348
6 ギャレット .271
7 衣笠祥雄 .267
8 水沼四郎 .271
9 北別府学 .101
ピッチャーはこの年代の代表的な投手として北別府学選手を考えた。選手の1978年の成績の詳細は,日本プロ野球記録を参考にさせていただき。それぞれの選手について,
単打,2塁打,3塁打,本塁打,四死球,三振,内野ゴロアウト,外野飛球アウト
の確率を計算した。ただし,内野ゴロと外野飛球の確率は直接は分からないため,全打席数から安打,四死球,三振の数をひいた残りを凡退と考えて,その数を1対1で分配した。ただし,投手の北別府選手は1978年だけでは統計が少ないので,通算成績を使った。
次は試合の内容をシミュレーションする方法を考えなければならない。
ランナーが塁を埋める状況について
走者無し,1塁,2塁,3塁,12塁,13塁,23塁,満塁
の場合について,前述の打撃の結果どうなるかを想定し,全部で64通りの場合を表にした。
一塁安 | 二塁安 | 三塁安 | 本塁 | 四死球 | 三振 | 内ゴ | 外飛 | ||
0 | 0 | 010 | 020 | 030 | 100 | 010 | 001 | 001 | 001 |
1塁 | 1 | 040/060 | 050/120 | 130 | 200 | 050 | 011 | 002/011 | 0011 |
2塁 | 2 | 110/060 | 120 | 130 | 200 | 050 | 021 | 021/031 | 021/031 |
3塁 | 3 | 110 | 120 | 130 | 200 | 060 | 031 | 031/101 | 101 |
12塁 | 4 | 140 | 150/220 | 230 | 300 | 700 | 041 | 012/041 | 041/061 |
23塁 | 5 | 210 | 220 | 230 | 300 | 700 | 051 | 051/121 | 121/131 |
13塁 | 6 | 140 | 150/220 | 230 | 300 | 700 | 061 | 032/061 | 111 |
満塁 | 7 | 240 | 250 | 330 | 400 | 170 | 071 | 052 | 151/161 |
少し見にくいが,横は打撃結果,縦は走者状況(0-7の通し番号をつけている),3桁の数字は結果を表している。
3桁の意味は,
100×得点+10×後の走者状況+アウトの増加
だ。
例えば,
0,1塁安,010は,走者無しで単安打,得点0,走者1塁,アウト増加0
1塁,内ゴ,002は,走者1塁で内野ゴロ,得点0,走者無し,アウト増加2(ダブルプレー)
13塁,外飛,101は,走者13塁で外野飛球,得点1,走者1塁,アウト増加1(3塁走者タッチアップ)
を表している。
結果が一つとは限らない場合もある。走者が1塁にいるときに2塁打が出た場合,1塁走者は生還する場合もあれば,3塁止まりのこともあるだろう。その場合2種類の結果が同じ確率で起こるとした。その他想定すればきりがないが,そこは割り切って表の場合のみが起こるとして,シミュレーションしている。
結果が一つとは限らない場合もある。走者が1塁にいるときに2塁打が出た場合,1塁走者は生還する場合もあれば,3塁止まりのこともあるだろう。その場合2種類の結果が同じ確率で起こるとした。その他想定すればきりがないが,そこは割り切って表の場合のみが起こるとして,シミュレーションしている。
このデータを元に,130試合をシミュレーションして,試合の得点分布をつくった。打順は前述の表に示した当時の打順だ。その結果がこれである。比較のため,1978年の実際の得点分布もグラフにした。簡単なシミュレーションだが,びっくりするくらいよく合っている。
では,打順を代えるとどうだろう。同じ1978年の打者データを使って,打率の高い順を打順として同じようにシミュレーションした。結果は実際の打順とほとんど変わらない。今度は逆に,打率の低い順番に並べた。さすがに平均得点が落ちたが,それほどの大差は無いといえるだろう。
そこで気になるのは,今年,2014年のカープだ。今年8月下旬ころのカープの打順をこのように想定した。
1 堂林 翔太
|
2 菊池 涼介
|
3 丸 佳浩
|
4 エルドレッド
|
5 梵 英心
|
6 キラ
|
7 小窪
|
8 會澤 翼
|
9 前田 健太
|
シミュレーションより,実際の方が平均得点が高いが,昨年の方がシミュレーションと実際の結果は近い。打撃データは昨年のものなので,妥当だろう。今年はかなりよく打っていると考えられる。しかし,それでも平均得点は,1978年の打率反対オーダーより低い。やはり今年の好調は投手陣のがんばりが大きいようだ。
なにはともあれ,今年のカープは優勝も夢ではないところにいる。(9月1日現在)楽しみ!
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