2014年4月11日金曜日

いきなりボールの反発係数と言われても

   今日(2014年4月11日)授業の準備をして,さあ行こう、というところに電話がかかってきた。あるテレビ局の夕方のニュース番組だ。直ぐに授業に行かなければならなかったので,一旦電話を切って,必要ならば後からかけ直してもらうことにした。

 なんだろう?世間を騒がせている理研の話ならばもう出尽くしているし,私に取材する内容でもない。たいした話でなければ電話はかかってこないだろうと思っていたら,午後直ぐに電話が。。内容は思いもよらず「ボールの反発係数について聞きたい」だった。プロ野球で使っているボールの、反発係数の平均値が規則の上限を上まわっていたというニュースがあった。それについてだ。何故私にわざわざ東京から?と思ったが,以前サイエンスカフェでスポーツと物理の話をしたのをネットで見つけたらしい。

質問は,そもそも反発係数とは何?から。ボールの反発しやすさとか,壁にあてて跳ね返る前と後のスピードの比と答えたら,分かったようなふりをしてくれた。これからが本題。今回,6つの球場でそれぞれ1ダースのボールを抜き出してその反発係数を測ったと言うことだ。その値を教えてくれた(なぜか,6ではなくて,その内の4つ)

札幌ドーム   0.425
東京ドーム   0.428
神宮球場    0.426
西部ドーム   0.234

プロ野球の規定では「反発係数は0.4034~0.4234の間に収まってること」ということらしい。

これだけの情報から何か言えというのは難しい。
平均値だけで,測定値の分布が分からないので,誤差が不明。これでは,平均値が有意にずれているのか,誤差の範囲では規定に収まっているのか分からない。

製造されたボールの反発係数の平均値(業者に発注した際の目標平均値)と製造過程でおこる反発係数のばらつき(標準偏差)が分かれば判断できるが,ネットで調べた限りその値は見つからなかった。

  上記4つの測定値の標本標準偏差は0.002。これをそれぞれの球場での測定誤差と考えると,東京ドームと神宮球場は1シグマ以上外れている。また,この4つの球場の平均は0.426±0.001なので,やはり規定の上限を上まわっている。
とは言っても,4つの平均値だけと言うのは情報が少い。これから何か意味のあることをいうのは難しい。誤差という考え方は一般にはなかなか広まらないな。。

ここで書いたことは今だから言えるが,取材の時にはいきなり取材の申し込みをされて,あまり(1時間弱時間をおいたが)調べるまもなく音声録音だった。
あまり面白みはないが、「この数値からだけでは,本当に既定値からずれているのか,たまたまそうなったのか判断できないと」コメントした。電話をされてきた方は,NPBが意図的に操作しているという話を作りたそうな気配もあった。プロ野球ファンとしてはど思うかという聞かれたので,
「反発係数が高くて得点が入りすぎても大味な試合になってつまらない。得点シーンが少なすぎても楽しくないので適当な値が必要。でも今年は結果的にカープの調子が良いので気分は良い。」と話した。

さて,この取材は今日(2014年4月11日)夕方のニュースのためで,全国版,東京ローカル版,または没,ということだったのだが,実際はどうなったのだろう。
だれか聞いた(見た)人いるかな。内容は私の話した主旨の通りだったか。どんな編集になったのか。気になるところだけどね。




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