2020年6月17日水曜日

サザエさんのじゃんけん


 日曜日の夕方恒例のサザエさん。これみると、週末も終わり、明日から新しい1週間が始まると憂鬱に思う人もいるのではないだろうか。 ところで放送では、毎週サザエさんがじゃんけんをしている。 昔は饅頭?を食べて喉につまらせそうになる映像だったが、いつの頃からかじゃんけんになった。先週そのじゃんけんがニュースになった。

 サザエさんはこれまで約1500回じゃんけんをしているのだけど、先週初めて5回連続で同じ手を出したそうだ。ヘェ〜なのだが、ちょっと待った。確率的にはどうなのだろう。

 サザエさんが完全にランダムにグー、チョキ、パーを出している場合、3つのうちどれかが5回以上続く確率は3の4乗分の1。1500回じゃんけんをすると20回くらいは起こるはずだ。1500回もやってたった1回というのは少なすぎる。サザエさんは同じ手があまり繋がらないように,出す手を考えているようだ。

     
 こんなことを考えていると先人がいた。サザエさんじゃんけん研究所(以下研究所)では、過去のサザエさんのじゃんけんの全記録とそのパターンを分析している。すごい! それによると,さざえさんは2020年6月7日までに,1439回じゃんけんをしている。私もそこのデータを参考に、簡単な分析をやったみた。授業の小ネタを考えていることもあり、また研究所の内容とかぶらないように統計的な性質を考察してみよう。

まず基本的なところ,1439回のうち,グー,チョキ,パーそれぞれの回数。

 サザエさん  合計  2回以上連続  3回以上連続  4回以上連続
 5回以上連属
 グー  463    92  4   0  0
 チョキ  500  90  4  0  0
 パー  476  94  4  1  1
 合計  1439  276  12  1  1
 確率予想(合計)  1439  480 160  53  18

グー,チョキ,パーそれぞれの数はほぼ均等にでているのだが,連続して同じ手が出る回数が,単純な確率予想よりずっと小さい。サザエさんは,3種類の手は同じくらいだしながら,あまり連続して出ないように出す手を考えているようだ。

 このサザエさんのじゃんけんのくせ?は,統計的な特徴にも現れる。その一つは,同じ手をだす間隔だ。ある時グーをだしたとして,その次にグーをだすのは何回目が多いだろうか。

この話,多くの人が誤解している。じゃんけんの手は3種類あるから,次にグーをだすのは平均するれば3回目だろう。しかしこれは3回目にグーを出す頻度が多いことを意味しない。
まずサザエさんが全くランダムに手をだしていると考えてみよう。
 
まずグーがでたとして,その次(1回目と呼ぼう)のじゃんけんでまたグーがでる確率は1/3。これは良い。

では,次にグーがでるのが2回目の確率は,,,,
1回目にグーがでない確率×2回目にグーがでる確率=2/3×1/3

次にグーがでるのだ3回目の確率は,,
1回目,2回目ともにグーがでず,3回目に初めてでる確率=2/3×2/3×1/3

 つまり,n回目に初めてグーがでるためんには,その前の回まで連続してグーがでては行けないのだ。すると,あるときグーが出たとして次にグーがでる確率が一番高いのは,その直後だ。
ちゃんと計算すると,グーがでたときと0回として,次にでるのがn回目になる確率は
 $$(1-1/3)^{n-1}(1/3)$$
となる。

実際のサザエさんのじゃんけんはこうなっている。
サザエさんのじゃんけんでグーのでる間隔の分布。
点はランダム仮定したときの計算値

1回目から4回目くらいまで,グーのでる間隔の分布がほぼ均等になっている。ランダムな場合の計算とは異なっていることはあきらかだろう。
次に,手のでる回数のばらつきをみてみよう。たとえば18回じゃんけんをした時,ある手(グーとしよう)のでる回数の平均は6回。でもあるときは5回かもしれないし,8回かもしれない。その平均値のまわりのばらつきを表す指標が標準偏差。
18回じゃんけんをしたときの,グーのでる回数の分布。
オレンジはサザエさんのじゃんけんデータ。
ブルーはランダムな場合のシミュレーション。

図は,18回じゃんけんをしたときの,グーがでる回数の分布を,サザエさんのデータと,ランダムな場合のシミュレーションを重ねたもの。(18回というのは,3で割れる適当な数をえらんだ)。どちらも,平均は6回だが,標準偏差は,サザエさんは0.97, ランダムな場合は2.0となって,ランダムなときの方が標準偏差が大きい。つまりサザエさんのじゃんけんは,ランダムな場合と比較して,同じ手が均等な間隔ででる。それを反映して,同じ手がでる回数の平均値からの散らばりが小さい。

横軸はじゃんけんの回数。
ブルーはさざえさんがグーを出したとき。
オレンジは全くランダムなとき。
サザエさんの方がより均等な間隔でだしている。
ランダムなときの方が,塊になっている傾向があるのがわかるかな。。

ちょっと何言っているか分からない??でも,統計的学にはとても重要な話なのだ。。。
物理的には,光と電子の違いに関連するし,,,


では,実際にはサザエさんはどうやって,出す手を決めているのだろう。。。これはわからん。グー,チョキ,バーの数は1/3ずつにわりふりながら,連続した手がつづかないように,手を加えているのだと思うが。

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