2020年8月6日木曜日

核抑止を少しだけ考えた

 今日は8月6日,広島原爆から75年。毎年この時期になると,平和について少しだけ考える。8月6日というだけでなく,授業でそれに関連した話をすることがあるからだ。

 平和公園で開かれた平和記念式典での広島県知事の挨拶に,以下のような言葉があった。

 「なぜ,我々広島・長崎の核兵器廃絶に対する思いはこうも長い間裏切られ続けるのでしょうか。それは,核による抑止力を信じ,依存している人々と国々があるからです。しかしながら,絶対破壊の恐怖が敵攻撃を抑止するという核抑止論は,あくまでも人々が共同で信じている「考え」であって,すなわち「虚構」に過ぎません。」

核抑止論が,人々が信じている「考え」,「虚構」であるのは,その通りだと思う。言い換えると,実態をもたない抽象的な概念だ。しかし,人々が信じている抽象的な概念という意味では,宗教も国も同様だろう。 ハラリはよく1ドル札の例を話す。「1ドル札という紙切れに価値がるのは,それを世界中の人が信じているから。アメリカが大嫌いなテロリストもドルは信じている。」 実態の無い虚構を何十億人の人が信じて協力することが人間の特徴であり,人類の発展の言動力であり,争いが絶えない理由でもある。「数千万人が1日信じる虚構はフェイクニュース。数億人が1000年信じる虚構は宗教。」なのだ。

 「虚構」を信じるのは人間の特質の根本に関わることなのでそう簡単に変えることはできない。

知事の言葉は,このようにつながっていた。
もちろん,凝り固まった核抑止という信心を変えることは簡単ではありません。新しい安全保障の考え方も構築が必要です。」

新たな虚構をつくり挙げることによって,核抑止論をやめさせようということか。

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