2013年9月9日月曜日

PosiPol2013(偏極陽電子源研究会)

  2013年9月4日から6日までの3日間、アメリカ、シカゴ郊外のアルゴンヌ国立研究所でPosiPol2013研究会が開催されました。この研究会はリニアコライダーのための偏極陽電子源について議論するの趣旨ですが、ここ数年は、電子源、陽電子源開発の実働部隊が集まる研究会という感じです。アジア、ヨーロッパ、アメリカの関係者が集まります。これまでずっと,アジアとヨーロッパで交互に開催してきたのですが、初めてアメリカでの開催となりました。広島から成田経由でシカゴまで16時間くらいです。そこからアルゴンヌ研究所までは、車で約30分。今回はレンタカーを借りることにしました。私は某レンタカー会社のメンバーなので、空港についてレンタカー会社に行くと、駐車場に名前が表示されています。そのまま車に乗って出発すればOK。便利です。
うま撮れなかったけれど,こんな感じで,車のところに名前が表示されています。
アルゴンヌ研究者に着くと、入口のオフィスで身分証明書の作成です。最近はどこの研究所も、入退出の管理がとても厳しくなっています。天気は快晴、気温は半袖では少し肌寒いくらい。気持ちいい気候です。でもシカゴ近郊はあと1〜2ヶ月もすると酷寒の冬になります。

  今回の研究会は、ILCの技術設計報告書の完成や、最近の日本での立地評価会議の発表をうけて、ILCが現実化してきたという雰囲気がでていました。日本はILCの誘致をいつ決めるのだ、みたいな話もでましたが、それはちょっと早い。これから、国レベルの交渉を始めたいという段階です。研究者もまだまだたくさんやる事があります。
研究会のポスター
それでも会議では、本当にILCを作るためにはこれから何をすべきか?具体的な議論が進みました。陽電子源としては、もっとも技術的に確実な、通常タイプ*のもの開発について、具体的な作業のリストと分担を話しました。数年前まで、ILCでは通常タイプのものは使えない、と考えられていたのですが、2011年に私たち日本グループが中心となって、その可能性を指摘しました。これは偏極陽電子はつくれないのですが、まずは確実に実験を開始して、将来のアップグレードで偏極陽電子にしようという考え方です。皆さん偏極陽電子が魅力的(物理的にはそのとおりです)なのでなかなか納得してくれなかったのですが、いよいよという段階になって、通常タイプを本格的に開発することになりそうです。(偏極タイプももちろんやることになっています。)
   短い時間でしたけど、最終日に立地評価会議が最適と評価した北上サイトについて紹介がありました。海外の皆さんもどのようなところかとても興味があるようです。次回のPosiPolの時には行ってみたいという意見もでました。

ところで、アメリカに行く時は、いつも時差ぼけに悩まされます。最近私は、時差ぼけにの調整を諦めて、寝たい時に寝る(会議中はできるだけ?さけて)ようにしています。そのため、滞在中も夜中に起きたり、朝早く起きたり、とても不規則でした。基本的に寝るのは得意なので眠れないくて困ることはありませんが、それでも疲れますね。アルゴンヌ研究所は、広くてきれいなところでした。ゲストハウスも広くて快適です。ロビーでえコーヒーが24時間無料で飲めるのは、時差ぼけで起きている時にはとても助かりました。そうそう2日目の晩にレストランでステーキを頼んだら、絵に描いたような草鞋サイズでした。半分食べたところで断念。カメラを持っていなかったのが残念です。
ステーキの代わりではないけど,研究会終了後にみなでいってホットドック屋さん。これも大きい。


  先ほどもちょっと触れましたが、来年は日本での開催が濃厚です。北上に行くためには会場を近くにしなければなりませんが、今のところ電子源や陽電子源の開発をやっているグループはありません。誰かを誘い込もうかなっと画策中です。
シカゴ空港のターミナル1,滑走路の下の長い通路です。

*これまで,陽電子は,まず電子線を金属標的に照射して,対生成という過程(が沢山起こる電磁シャワー)で作っていました。しかし,この方式でILCに必要な数の陽電子をつくると,金属標的が壊れてしまうと考えられていました。そのため,ILCでは,アンジュレーター方式という別の方法を採用していました。でもこれは技術的な開発項目がまだかなり残っています。一方,通常タイプについて,もう一度いろいろパラメータを変えてその可能性を総合的に考えるというのを2011年に行った結果,ILCでも通常タイプを使える可能性があることが分かりました。




0 件のコメント:

コメントを投稿